ウィリアムズ症候群診断の遅れ
Delay in diagnosis of Williams syndrome.
Huang Lennox; Sadler Laurie; O'Riordan Mary Ann; Robin Nathaniel H
Department of Pediatrics, University Hospitals of Cleveland, Case Western Reserve University School of Medicine, OH, USA.
Clinical pediatrics (United States), May 2002, 41 (4) p257-61, ISSN 0009-9228
ウィリアムズ症候群は様々な表現型を示す広く知られた遺伝子病である。多くのケースで身体的症状は明確ではなく、乳児期には外見上に現れないため、大動脈弁上狭窄や高カルシウム血症など典型的な症状を呈しない低年齢の子どもの診断を難しくしている。通常の染色体検査では検出できないことから、臨床的にこの症候群である可能性を疑うことは非常に大切である。さらに、早期診断が発達面・行動面・医療面の問題を早期に発見し対処することを可能にする。ウィリアムズ症候群の子どもたちが、何故そしてどのように診断を受けたかを理解するために、ウィリアムズ症候群の子どもの両親に対する調査を中心とした研究を実施した。依頼状・同意書・両親に対する質問状・宛先が事前に記入され切手が貼られた返信用の封筒が入れられた調査キットをウィリアムズ症候群の子どもに両親に送った。質問状には、最初の診断・現在あるウィリアムズ症候群の症状・治療に関わっている医療専門家・検査成績などに関する質問が含まれている。46通の回答を受取り、分析を行った。診断を受けた時点の年齢の平均は3.66歳(標準偏差4.13)であった。「何かがおかしい」と初めて感じた時の年齢は0.98歳(標準偏差1.24)であり、診断を受けるまでの遅れ時間の平均は2.77年標準偏差4.10)になる。さらに、早期に診断を受けている場合は遺伝医が関わっていて(2.26歳。遺伝医が関わらないケースは5.09歳。p = 0.03)、検査項目も少ない(5.2件。遺伝医が関わらないケースは8.2件。p = 0.0006)。ウィリアムズ症候群の診断には有意な遅れがみられた。さらに付け加えると、遺伝医が関わっていると、診断を早期に受け、検査項目の数も少なくなる。
(2002年9月)
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