p47-phox欠乏性慢性肉芽腫症を併発したウィリアムズ症候群の症例



A case of Williams syndrome with p47-phox-deficient chronic granulomatous disease

冠木 智之, 河合 利尚, 金 慶彰, 城 宏輔, 大橋 博文, 古庄 知己, Yachie A, 金兼 弘和, 宮脇 利男, 大石 勉.
埼玉県立小児医療センター感染免疫・アレルギー科.
日本臨床免疫学会会誌. 2003 Oct;26(5):299-303.

特徴ある妖精様顔貌を呈した2ヶ月の男児はFISH法による染色体検査で7q11.23領域の微小欠失が確認されウィリアムズ症候群であると診断された。患者は7ヶ月の時に結核ワクチン(BCG)による免疫化を受けた後、腋のリンパ節が恒常的に肥大していることから免疫不全症の疑いが持たれた。ニトロブルー・テトラゾリウム検査(NBT)と化学ルミネセンス検査の結果、超酸化物の生成が見られないことが判明した。ウェスタンブロットとDNA配列解析を行った結果、p47-phox欠乏性上染色体劣性慢性肉芽腫症(CGD)(A47 degrees CGD)の確定診断に至った。A47 degrees CGDにおける優勢染色体欠損は7q11.23に位置する好中球細胞質因子1遺伝子(neutrophil cytosol factor 1 gene (NCF1) )の第2エクソンの先頭にあるGTが欠けている。この患者のCGDについては、ウィリアムズ症候群の原因である7q11.23領域に存在するNCF1の半接合(劣勢遺伝子突然変異)が原因であると考えられる。ウィリアムズ症候群のような微小染色体欠失を伴う病気においては、半切合領域に位置している遺伝子に起因する染色体劣勢遺伝病の併発を考慮に入れることが必要である。

(2003年11月)



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