ウィリアムズ症候群における甲状腺機能低下症の臨床症状と甲状腺異形成の新しい症例
New case of thyroid dysgenesis and clinical signs of hypothyroidism in Williams syndrome.
Bini R, Pela I.
Pediatrics Unit, Ospedale della Misericordia, Grosseto, Italy.
Am J Med Genet. 2004 Jun 1;127A(2):183-5.
先天性心臓疾患・肝臓の血管腫・顔面異形を呈し、生後3ヵ月のときに授乳障害と低成長で入院した女児について報告する。彼女は低血圧・巨大な舌・「粗雑な(coarse)」顔・臍ヘルニアと先天的な複合的循環器形成異常がある。新生児スクリーニングでは異常が発見されなかったが、甲状腺ホルモンの血清中レベルを測定した。甲状腺刺激ホルモンレベルは非常に高い( >50 microU/ml、正常レベルは0.2-4 microU/ml)一方で、血清中の遊離T(3) (Free T3)と遊離T(4) (Free T4)レベルは正常(FT3 3.6 pg/ml, 正常レベルは 2.8-5.6 pg/ml; FT4 11.6 pg/ml, 正常レベルは 6.6-14 pg/ml)、抗甲状腺自己抗体は検知されなかった。過酸化テクネチウムナトリウム(sodium 99m Tc pertechnetate)を使った甲状腺シンチグラフィーを行った結果、舌下に位置する異所性甲状腺が発見されたため、L−チロキシンを一日あたり37.5マイクログラム投与する治療を開始した結果、臨床症状は急速に改善された。生後17ヵ月の時に患者は完全なウィリアムズ症候群の表現型を示した。臨床的診断が行われた後、FISH検査により第7染色体のエラスチン遺伝子の半接合欠失が確認された。最近になってウィリアムズ症候群児において甲状腺の方側無形成が報告されている。我々が経験した患者はウィリアムズ症候群と甲状腺機能低下症が合併することを強く示唆している。さらに、同患者は甲状腺機能低下症の臨床症状が見られること、孤発性先天性甲状腺機能低下症と同様の治療が必要になる可能性を示唆している。
(2004年5月)
目次に戻る