奇形症候群と成長障害
永井 敏郎
独協医科大学越谷病院小児科
小児科診療 64(6)(通号751)(2001.6) 873-878ページ
要旨
奇形症候群で低身長はまれではないが、その成長パターンの特徴や低身長の程度、が判明している疾患は少ない。現在まで、日本人疾患特異的成長曲線は、Tuner症候群、Down症候群、軟骨無形成症、Prader-Willi症候群の4疾患で完成されている。未完成ではあるが、Williams症候群、Rubinstein-Taybi症候群、の成長曲線が報告されている。日本人疾患特異的成長曲線を作成することは、患者の長期にわたるケア上きわめて重要な意義をもつ。本稿では、上記6疾患での成長曲線を紹介し、臨床現場での有効活用を期待する。
―― 略 ――
Williams症候群
Williams症候群は、妖精様顔貌、人なつっこい性格、成長発達遅滞、大動脈弁上狭窄、末梢性肺動脈狭窄などを示す奇形症候群である。原因は7番染色体q11.213に位置するelastin遺伝子を含む隣接遺伝子症候群である。本症の成長曲線は完成していないが、森本らが36名(男18名、女18名)での報告が参考になる(図4:注=図は省略)。
その特徴は、@男女全例での平均出生体重は2,558g、身長46.6cmで軽度子宮内発育遅滞をみる。幼児期から学童期は、健常児の平均と-2SDの幅で成長する。B思春期でのスパートが乏しい、C平均最終身長は、男155〜160cm、女145〜150cmと予測する、などである。しかし、これらのデータは患者数が少ないこと、とりわけ年長者の数が少ないため、今後修正が必要であろう。
(2004年5月)
目次に戻る