ウィリアムズ症候群患者における甲状腺の機能と形態
Thyroid function and morphology in patients affected by Williams syndrome.
Stagi S, Bindi G, Neri AS, Lapi E, Losi S, Jenuso R, Salti R, Chiarelli F.
Paediatric Endocrinology Unit, Univeristy of Florence , A. Meyer Children's Hospital, Florence, Italy.
Clin Endocrinol (Oxf). 2005 Oct;63(4):456-60.
目的:
ウィリアムズ症候群患者の同齢集団における甲状腺形態機能と形態の異常の罹患率を評価する。
方法:
フリーT3、フリーT4、TSH、甲状腺過酸化酵素抗体(TPOA:thyroperoxidase antibodies)やチログロブリン(TgA)の血清中濃度と超音波検査データを、年齢1.7歳から34.9歳の範囲のウィリアムズ症候群患者20人(女性12人と男性8人)について検査した。
結果:
無症状の甲状腺機能低下症が3例(15%)で確認された。明白な甲状腺機能低下症の診断が2例(10%)に行われた。全患者で甲状腺抗体は陰性であった。腺がまったく例も含めて14人(70%)で甲状腺発育不全がみつかった。これらの患者では通常左甲状腺葉はみられるが顕著ではなく、右甲状腺葉に比べて小さい。1人の患者(5%)は片側甲状腺非形成であった。5人(25%)だけが正常な大きさの甲状腺を持ち、この5人の中の1人だけに左甲状腺葉の発育不全が認められた。無症状あるいは明白な甲状腺機能低下症の診断を受けたウィリアムズ症候群患者全員から甲状腺葉発育不全が検出された。正常な大きさの甲状腺を持つウィリアムズ症候群患者には無症状あるいは明白な甲状腺機能低下症は見られなかった。
結果:
本研究ではウィリアムズ症候群患者における甲状腺の変質の存在を確認した。また高い確率で甲状腺形態に異常が存在することを示唆している。ウィリアムズ症候群の患者は甲状腺機能のモニターを受け、特に甲状腺機能に変化が見られる場合は甲状腺に対する超音波検査スクリーニングを検討すべきである。
(2005年10月)
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