ウィリアムズ症候群のこどもと成人における感音性聴覚損失



Sensorineural hearing loss in children and adults with Williams syndrome.

Marler JA, Elfenbein JL, Ryals BM, Urban Z, Netzloff ML.
Department of Communication Sciences and Disorders, James Madison University, Harrisonburg, Virginia.
Am J Med Genet A. 2005 Oct 12;138A(4):318-327 [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群は遺伝子神経発達障害であり、軽度から中度の精神遅滞を伴うことが最も多い。ウィリアムズ症候群の成人はコミュニケーション面において特有の長所と短所があり、地域社会・教育・就職環境における治療が難しい。ウィリアムズ症候群における聴覚感度に関する特徴に潜む数多くの問題は未だに解決されていない。27人のウィリアムズ症候群患者(6歳から48歳)グループを対象にして、聴覚器官に関する行動的(純音聴力計によるスクリーニング)及び客観的(歪成分耳音響放射:distortion product otoacoustic emission - DPOAE)機能の計測を目的とした。国際専門家会議(n=19)と診療所(n=8)の両方で測定を行った。行動的スクリーニング条件に関しては、聴覚スクリーニングにおいて対象患者の16/19(84%)に問題があり、聴覚診断環境では6/8(75%)が感音性聴覚損失(SNHL)を呈し、1/8は原因不明の聴覚損失を呈した。DPOAEを調べる検査において、19/25(76%)は正常な聴覚を持つ耳に対して5パーセンタイル以下のDPOAE絶対強度(absolute amplitudes)しか持っていない[Gorga et al. (1997); Ear Hear 18(6):440-455]。我々は学齢期の子どもの14/18(78%)に感音性聴覚損失が見られることを報告している。事後の分析により有意な年齢効果が発見され、これは聴覚損失が進行することを示している。効果量分析の結果、高周波数領域(4,000から8,000 Hz)における聴覚感度は成人と学齢期の子どもでは有意な違いがみられた。同様の聴覚損失表現型は非症候性の家族性大動脈弁上狭窄症(SVAS)の患者でも観察されており、このことはウィリアムズ症候群における感音性聴覚損失の病因がエラスチン遺伝子の分子的欠陥と関係していることを示唆している。この研究はウィリアムズ症候群患者に対する早期かつ定期的な聴覚検査の重要性、およびエラスチン遺伝子がこれまで知られていない聴覚感度を維持する機能を有している可能性を示唆している。

(2005年10月)



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