新生児肝炎重症例と考えられる経過をたどるウイリアムズ症候群の極低出生体重児の1例



古畑 律代、阿曽沼 克弘、亀山 順治
倉敷中央病院 小児科、外科
Minophagen Medical Review 46巻6号(2001年11月) 346〜347ページ

先天性十二指腸閉鎖症にて日齢1に根治術を施行し、その後、染色体異常が診断された女児。肝内胆汁うっ滞が遷延(日齢120 D.bil 6.9mg/dl)し、日齢163に肝生検を行った。経過と合わせて報告する。

【討論】

ウイリアムズ(Williams)症候群は、特徴的な顔貌、精神発達遅滞、大動脈弁上狭窄と肺動脈抹消狭窄を合併する症候群であり、染色体7q11の欠失により生じる。まず肝病理所見について、この症例では肝生検により門脈域が7〜8個みられるが、小葉間胆管が認められる門脈域が二つであり、その小葉間胆管も低形成であり、細胞浸潤は少ないとの指摘があった。また、本例と同様に、在胎32周の早産児に胆汁うっ滞がみられ、経時的な肝生検にて最初は小葉間胆管のpaucityがあり、細胆管の増生がみられたが、その後、小葉間胆管が発達し、胆汁うっ滞も軽快、消失した例が追加報告された。また本例は、Alaglle症候群にみられる錐体骨の異常、眼の異常などはなかった。非症候性胆管減少には種々の原因があり、Williams症候群との関係も討議された。さらに、門脈域の小葉間胆管、門脈、動脈の三つ組構造は、在胎20週ごろには出来上がるとの文献がある。この点について、生後数日からD.BilがT.Bilの15%以上もあり、先天性に胆汁うっ滞があったと考えられる。したがって、本例にみられた胆管異常は続発性でなく、先天性の可能性があるとの意見ともあった。

(2005年11月)



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