成長曲線は語る
11. 奇形症候群(ウィリアムス症候群)
吉田由香、安原昭博
関西医科大学附属病院香里病院小児科
成長曲線は語る 成長障害をきたす小児疾患―症例と解説、228-229ページ
診断と治療社、ISBNコード : 4-7878-1435-4(2005年10月)
症例解説
在胎39週、身長45cm、体重1,918g、頭囲29cmで出生した。子宮内発育不全があり、肺動脈狭窄を認めた。1歳3ヵ月時に発育・発達障害を主訴に来院した。初診時、身長67.4cm、体重6,260gと発育が悪く、特異顔貌(妖精様顔貌)を認めた。MRIでChiari T型奇形と脳波検査で左前頭葉に棘波を認めた。FISH法により解析したところ、エラスチンの欠失を認めウィリアムス症候群と診断した。
その後、発育と発達の経過を観察したが、1歳9ヵ月になっても発育の遅れは改善しなかったため内分泌的な精査を行った。発達テストでは認知がDQ58であった。運動発達も遅く、歩行はかろうじて可能だが不安定であった。身長69.7cm(-4.43SD)、体重6.9kgと低身長・低体重であった。末梢血、一般生化学検査は正常であったが、IGF-I10ng/mLと成長ホルモン分泌刺激試験(アルギニン負荷:GH頂値8.47ng/mL、クロニジン:GH頂値9.22ng/mL)でそれぞれ低下を認めた。甲状腺機能は正常であった。部分的な成長ホルモンによる治療を開始した。
成長ホルモン投与開始後は、運動能力の向上を認め、生活力は著しく改善した。患児の顔貌を示す(省略)。
(2006年3月)
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