ウィリアムス症候群に合併した自閉症状の検討
「脳と発達」に掲載された論文と同じタイトルで執筆者が少し異なる論文が「大阪市勤務医師会研究年報」に掲載されました。本文は確認できていませんので、内容が異なるかもしれません。
(2006年3月)(2006年10月)
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岡田 眞子1)、富和 清隆1)、岡崎 伸1)、綾部 捷2)
1) 大阪総合医療センター 小児神経科
2) 大阪総合医療センター 療育相談室
脳と発達(日本小児神経学会機関紙) 第36巻 総会号 S248ページ(2004年)
ウィリアムス症候群(以下WMS)は7番染色体上のELN遺伝子を含む隣接遺伝子症候群である。行動特性として社交的、相対的に言語能力が高い、視覚に比べて感覚理解が優れているなどが知られている。しかし、彼らの中には、集団行動に適応しにくい、対人的状況を読まない一方的なコミュニケーション行動、言語能力のアンバランス、同一性保持や常同反復、想像力の乏しさによる不安や混乱、感覚過敏/鈍麻などの自閉症状を示す児がいる。自閉症状を持つ児の行動特性を検討したので報告する。
【対象】
WMS療育相談外来を受診した58名(男34名、女24名)
【方法】
WMS診断はFIOSHで行い、診断確定後療育相談を勧奨した。事前に現病歴、育成に関するアンケートを実施し、相談時には心理発達検査、行動上の問題を聴取、及び直接観察し自閉症関連症状が認められた場合には診断基準(DSM-4)との照合を行った、
【結果】
58名中12名(男8名女4名)に診断基準にあげられている幾つかの自閉症状が認められた、この内8名は自閉症三主徴全項目に、残り4名は2項目に該当する行動が認められた。自閉症状を持たないWMS児では性差はないが合併群では2:1と男が多かった。知的機能はDQ値11-63と中度から最重度遅滞に分布。心疾患合併は8名。
【考察】
WMSの中には自閉傾向を併せ持つ児が約20%に見られた。男女比は2:1であるが自閉症一般の性差に比べて低く遺伝的要因が大きいと考えられた。これまで言われていたWMSの行動特性と今回検討した自閉症関連症状とは疾患単位としてどのような関連を持つのか、phenotype間の対比検討に加えて今後genotypeの関連についても検討する必要がある。自閉傾向の合併が遺伝子レベルの相違によるかは今後の検討を要する。合併例の表現型や遺伝子レベルの検討は自閉症の成因理解に有用と考える。
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ウィリアムス症候群に合併した自閉症状の検討
岡田 眞子、富和 清隆、岡崎 伸、綾部 捷、川脇 壽、九鬼 一郎
大阪市勤務医師会研究年報 第33巻 63-68ページ(2006年3月)
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