ヨード系造影剤を使用後に甲状腺機能低下を来したWilliams症候群の新生児例
第85回東海小児循環器懇談会(2004年7月18日) 抄録
あいち小児保健医療総合センター循環器科:沼口 敦、福見 大地、安田 東始哲、長嶋 正寛
あいち小児保健医療総合センター心臓外科:永野 明宏、佐々木 滋、岩瀬 仁一、前田 正信
あいち小児保健医療総合センター内分泌科:濱島 崇
東海市民病院小児科:小島 奈美子
日本小児循環器学会雑誌 第21巻 第2 141ページ(2005年3月)
背景:
先天性心疾患を有する新生児に対して、ヨード系造影剤を用いた造影検査を行うことが多い。
症例:
日齢3日の男児。第5大動脈弓遺存、大動脈弓離断。日齢3に3D-CTによる造影検査の後、日齢5に大動脈弓再建術を施行した。術後哺乳不良などがあり、日齢12の採血にてTSH=31.6、fT3=3.64、fT4=1.26と軽度の甲状腺機能低下を認めた。染色体検査で、Williams症候群と診断。
考察:
新生児に対してヨード系造影剤を使用した際に、文献的には29%に甲状腺機能低下が生じ、約9%に内科的管理を要したとされる。一般的にWilliams症候群と甲状腺機能低下との関係は明らかでなく、本例での甲状腺機能低下は、ヨード製剤への被爆に起因する可能性がある。
結論:
今後、新生児への造影検査に際しては、前後での採血による評価など、慎重な対応を要する。
(2006年7月)
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