ウィリアムズ症候群において先天性甲状腺機能低下症例の原因となる甲状腺形成不全



Thyroid Hypoplasia as a Cause of Congenital Hypothyroidism in Williams Syndrome.

Stagi S, Manoni C, Salti R, Cecchi C, Chiarelli F.
Pediatric Endocrinology Unit, Department of Pediatrics, University of Florence, Florence, Italy.
Horm Res. 2008 Sep 30;70(5):316-318. [Epub ahead of print]


ウィリアムズ症候群においては、甲状腺の機能と形態の障害が報告されており、甲状腺スクリーニングと監視プログラムが推奨されている。しかし、生化学的甲状腺検査を受ける頻度、特に生後1年についてはまだ議論が続いている。本稿では甲状腺形成不全を原因とする先天性甲状腺機能低下症を併発したウィリアムズ症候群乳児の症例を報告する。本患者は生後1ヵ月の女児で、新生児向け一次甲状腺スクリーニングは陰性であったが、呼吸困難を主訴に当院を紹介された。甲状腺機能検査によれば、TSH上昇(42 mIU/l; 正常範囲 0.5-4 mIU/l)とFT4濃度 (10.21 pmol/l; 正常範囲: 10.29-24.45 pmol/l)の低下を示した。首の超音波診断によって重度の甲状腺形成不全がみられ、一方で、99m過テクネチウム酸による甲状腺シンチグラフィによれば甲状腺は正常な位置にあり、形が小さく全般的に固定化が弱いことが判明した。このため、L-thyroxinewasによる治療を開始した。甲状腺形成不全はウィリアムズ症候群においてよく見られる特徴であり、この特徴を持つ患者には甲状腺機能の異常が共通している。つまり、先天性甲状腺機能低下症の可能性を常に念頭においておくべきで、新生児向け一次甲状腺機能低下スクリーニングが陰性だったとしても、診断された場合は甲状腺(形態と機能)評価を定期的に行うべきであり、その後幼児期までは年に1度の頻度が望ましい。

(2008年11月)



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