ウィリアムズ症候群の患者における異型右横隔膜ヘルニア(モルガーニ孔ヘルニア)、半月状線ヘルニア、上腹ヘルニア
Atypical right diaphragmatic hernia (hernia of Morgagni), spigelian hernia and epigastric hernia in a patient with Williams syndrome: a case report.
Rashid F, Chaparala R, Ahmed J, Iftikhar SY
J Med Case Reports. 2009 Jan 7;3(1):7. [Epub ahead of print]
概要:
ウィリアムズ症候群は希少遺伝子疾患であり神経発達障害を伴う。モルガーニ孔ヘルニアは発生頻度の低い横隔膜のヘルニアであり、ほとんどは前部縦隔の右側にみられる。無症候性であることが多く、学習障害を有する患者の場合特に診断は難しい。
症例状況:
ウィリアムズ症候群、認知障害、大動脈狭窄を呈する49歳の女性患者が内科で右胸の痛みを訴えた。彼女は以前、半月状線ヘルニアと上腹ヘルニアの治療を受けていた。腹部検査の結果は普通であった。胸部X線写真によれば治療を受けた右側横隔膜ヘルニアと胸水貯留が認められた。CTスキャンの結果、隣接する肺の肺虚脱と硬化がみられた。さらに、患者は大動脈狭窄があり、麻酔に対して高いリスク(ASA grade 3)がある。彼女は腹腔鏡手術で先天的横隔膜ヘルニアの治療を受け、その後何の問題もなく急速に回復した。
結論:
この多発性ヘルニア症例は、ウィリアムズ症候群の患者が結合組織に問題があり、腹部のように内部の空洞部圧力が変動しやすい身体部分でヘルニアを起こしやすい。これらの患者では横隔膜ヘルニアが胸の痛みの原因である可能性がある。CTスキャンは早期診断に有効であり、腹腔鏡手術はさらなる合併症を防止できるうえに特に学習障害を有する患者の早期回復には有効である。同時罹患が明確になった以上、 早期回復が望める侵襲度の低い術式を選ぶことが賢明である。
(2009年1月)
目次に戻る