ウイリアムス症候群おける成長曲線の検討
村島 京子1)、富和 清隆1)2)、岡崎 伸2)、岡田 眞子2)
京都大学医学研究科社会健康医学系専攻遺伝カウンセラーコース 1)、
大阪市立総合医療センター小児神経科 2)
日本遺伝カウンセリング学会誌 29(1)、39ページ、2008年4月
背景および目的:
ウイリアムス症候群(以下WS)は妖精顔貌、心疾患、低身長、結合組織異常、乳児期高カルシウム血症、知的障害、特異的な行動パターンを特徴とする、エラスチン遺伝子(ELN)を含む7番染色体長腕の微細欠失による隣接遺伝子症候群である。臨床症状は多彩であり、体重・身長・頭囲などの身体計測値の評価が、健康状態全般の理解に有用である。WS固有の成長曲線が報告されている国もあるが、日本ではない。このたび88名のWSの方から協力を得て、出生から18歳までの身体計測値(体重・身長・頭囲・総計測数2169)を集積し、成長曲線完成に向けて本症の成長特性を検討した。
方法:
大阪市立総合医療センター小児神経内科神経遺伝外来通院患者のうち、臨床診断後、Fluorescence in situ hybridization(FISH)法による遺伝子欠失の同定により、WSと確定された者を対象に、月・年齢毎の平均体重・身長・頭囲・成長率を求め、定型発達群と比較した。またBMIの分布を調べた。
結果:
@出生時の体重・身長・頭囲の平均は定型発達群の-1〜-1.5SDのであった。A乳幼児期も体重・身長スコアは低値を示し、男より女、体重より身長著しかった。B乳幼児期の女を除き、痩せは見られなかった。学齢期以降には、肥満が見られた。C8歳以降の体重スコアは、男のほうが低値を示した。D思春期発育スパートピーク年齢は男女とも10歳で、定型発達群に比べ女は1年、男は3年早かった。
結語:
小児の成長特性が明らかになった。今後は多施設と協同して多彩な背景患者のデータを収集して、成長曲線を完成することが望まれる。
(2009年1月)
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