ウィリアムズ症候群患者でみられた退形成乏突起神経膠腫の発症:腫瘍の変異プロフィールに関する分析と症例報告



Occurrence of anaplastic oligodendroglioma in a patient with Williams syndrome: a case report with analysis of mutational profile of tumor.

Omalu BI, Nnebe-Agumadu UH.
University of Pittsburgh, Pittsburgh, Pennslyvania, USA.
Niger J Clin Pract. 2009 Jun;12(2):200-4.

ウィリアムズ症候群は希少先天性発達疾患であり、一連の特徴的な顔面異形、精神発達遅滞、循環器系異常、乳児高カルシウム血症、発達目安の遅滞、歯や筋骨格の異常、特徴的な性格形質などを特徴とする。ウィリアムズ症候群患者の大多数は染色体7q11.23領域の微小半接合欠失を有し、その部分は構造たんぱく質であるエラスチンをコードするELN遺伝子を含む20〜30個の遺伝子座である。染色体7qは腫瘍抑制遺伝子が存在すると予想されており、人の悪性腫瘍に関連して異常を起こしやすい染色体のひとつでもある。文献によればウィリアムズ症候群患者には腫瘍がおきにくい(3種類:paucity of tumors(three))と報告されている。退形成乏突起神経膠腫を発症した31歳のウィリアムズ症候群患者の症例を報告する。多型マイクロサテライトマーカパネルを使った異型接合性の欠失に関する変異プロフィールによれば染色体1qと19qの欠失も併せ持っていた。われわれはウィリアムズ症候群患者にはほとんど発生しない、あるいは発生したという報告がなされていない腫瘍の発生に興味を持った。そして、ウィリアムズ症候群には通常合併しないと思われている予期しない神経症状が存在する場合には、診断として中枢神経系の腫瘍を疑う必要があると提案する。

(2009年9月)



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