ウィリアムス症候群児・者の発達行動特性と療育相談
大阪市立総合医療センター療育相談室1,大阪市立総合医療センター小児神経内科2
岡田眞子1,富和清隆2, 松村隆雄1
脳と発達(日本小児神経学会機関紙) 33巻 総会号 (2001年)
ウイリアムス症候群(以下WS)は特異な発達特性や対人社会性に問題を示す。知的能力や
行動上の問題を把握し、多職種による療育援助を行ったので報告する。
方法
平成12年4月から12月までに、当科で観察中のWS症候群児・者に小児神経科医の診
察、騒床心理士の発達検査(新版K式)、療育相談室(障害児教育)による合同療育相
談を行った。
結果
対象者は2歳から27歳の22名(男17、女5)。心疾患合併は19名、内17名がSVAS
であった。診断時期は2ヶ月から12歳。就学後88%は障害児教育を受けている。相談
主訴は幼児期の身体症状から次第に対人社会面の不適応問題に移行。発達指数分布は
2l〜68で軽度遅滞は14% 3名。加齢と共に中・重度化する。発達年令は91%が幼児
期にありWS行動特性の多弁、社交性等の発達上のアンバランスが顕著。相談時主訴に
対しては言語理解の補助手段、生活動作の獲得、適切な対人行動の体験、音過敏の緩
和、職業訓練への準備などの助言を行った。不登校ケースには関係機関の参加を得て
卒後に向けて適切な援助を協議した。
考察
WS症候群の診断は心疾患の受診が契機となることが多いが加えて発育不良、音過敏、
言語や運動発達の遅れなど特有な行動特性に対する医学的評価と対応が必要である。
これにより障害特性に見合った親の理解と養育が容易になる。さらに、加齢により新
たな身体的合併症や心理発達上の問題が生じてくる。社会参加を困難にする対人社会
面の発達不均衡を理解し支援するために、教育機関や卒後の就労援助等の関係者と協
力しながら療育相談を継続することも今後の課題である。
(2001年9月)
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