ウイリアム症候群



「出生2,000人に1人」という発生頻度については記述ミスだと思われます。「出生20,000人に1人」程度といわれていましたが、最近ではもう少し頻度が高いともいわれており、「出生7,500人に1人」と書かれた論文もあります。

(2006年12月)

−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−

小國 龍也
小児科医
保育と保健 第12巻 第1号 116ページ (2006年1月)

病因は7番染色体の部分欠失で、その程度により病状に幅がありますが、精神発達遅延、大動脈弁上狭窄、特異顔貌を特徴とし、出生2,000人に1人の頻度とされます。大動脈弁上狭窄と特異顔貌(広く平たく大きな上唇、大きな口、とがった小顎、鼻根部平たん、腫れぼったい眼などを特徴とする顔です。成書には小妖精と記載されますが我々日本人の妖精のイメージではありません)が診断のきっかけになる場合が多く、多くは新生児期にされます。精神発達遅延の他、特異行動と性格が知られており、それを家族や周囲が理解することは同症候群の子どもたちのQOLの改善に重要です。同じ言葉の反復、社交的文句や決まり文句を使用することが多く、おしゃべりだが深い意味での会話はできないcocktail party speechと 表現されています。幼児期に高カルシウム血症が高頻度で認められますがその機序は不明です。なお患者の家族会として「ウイリアム症候群の会」があります。



目次に戻る