ウィリアムズ症候群の子どもの介護をする両親の課題とニーズの評価:ポーランドにおける予備的研究
Evaluating the challenges and needs of parents caring for children with Williams syndrome: A preliminary study from Poland.
Domaradzki J(1), Walkowiak D(2).
Author information:
(1)Department of Social Sciences and Humanities, Poznan University of Medical Sciences, Poznan, Poland. Electronic address: jandomar@ump.edu.pl.
(2)Department of Organization and Management in Health Care, Poznan University of Medical Sciences, Poznan, Poland.
Res Dev Disabil. 2024 Jan 11;145:104669. doi: 10.1016/j.ridd.2024.104669. Online ahead of print.
背景:ウィリアムズ症候群の身体的、認知的、行動的兆候は介護者の生活のすべての面に影響を与えるが、ポーランドではウィリアムズ症候群の子どもの介護を行う両親の経験に関する研究は現在まで行われていない。
手法:ウィリアムズ症候群の子どもを持つポーランド人の両親が持つ課題とニーズを特定するために、ポーランド・ウィリアムズ症候群協会の援助を受けている32家族の介護者に対して調査を行った。
結果:介護者はウィリアムズ症候群の子どもの行動や健康問題や気分変動に苦労をしている一方で、親の多くは疲労や配偶者との親密さに関する問題と心の健康の悪化を経験している。さらに彼らは、介護の責任を負っていることから自分自身の時間が無いことや仕事に対する制限が負担になっている。親達はウィリアムズ症候群の子どもの医療や診療に前向きな評価をしている一方で、ポーランドで利用可能な医療システムの機能に不満があるとともに、医師にウィリアムズ症候群の知識が乏しいこと、専門家の治療にアクセスしにくいこと、政府や公共機関の援助が乏しいことなどを指摘している。親の多くがウィリアムズ症候群の子どもを育てることは有意義な影響があると強調する一方で、半分以上の親は自分の役割に閉じ込められている、あるいは役割が重すぎるという経験をしているとともに、他者から理解されていないと感じている。さらに、短気、情緒不安定、無力感、不安、抑うつ等の、様々な苦悩の感情を経験した。
結論:ウィリアムズ症候群の子どもの親の多くはウィリアムズ症候群の子どもを育てることに肯定的な印象を持っているが、この研究の結果として彼らのような子どもの世話をすることの負担は、医療面を超えて、親の心の健康や日常生活や家族や専門性や社会的生活などあらゆる面に深刻な影響を与えていることが明らかになった。ウィリアムズ症候群の子どもを世話することに関する日常的な課題から離れて、親が医療システムや援助サービスを利用することに大きな課題があり、ウィリアムズ症候群に対する生物心理社会なアプローチが必要であり、ここにはウィリアムズ症候群の子どもだけではなく彼らの介護者も対象とすべきである。この論文で新しく解ったこと:1.ウィリアムズ症候群の子どもの介護をする両親の課題とニーズを分析した。2.その結果として、ウィリアムズ症候群の子どもの介護を行うことの影響は、医療面を超えて、親の心の健康や日常生活や家族や専門性や社会的生活などあらゆる面に深刻な影響を与えていることが明らかになった。3.ウィリアムズ症候群の子どもを世話することに関する日常的な課題から離れて、親が医療システムや援助サービスを利用することに大きな課題がある。4.ウィリアムズ症候群に対して生物心理社会なアプローチを組み込むことの重要性が強調されており、このサポートにはウィリアムズ症候群の子どもだけではなく彼らの介護者も対象とすべきである。
(2024年1月)
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