(1997年8月)
2語以上の言葉を話し始めた時、あるいはその直後に、この2つのグループは大き
な違いが見え始めます。言い換えると、言語において文法が一旦機能し始めると、ウイリ
アムス症候群の子供達は急速な進歩を見せる一方で、ダウン症候群の子供達は遅れを取り
戻せないということです。何歳くらいからこのような現象が出始めるか、という事に関し
ては議論の必要がありますが、敢えて言うとしたら平均的には4才になってからと思われ
ます。
普段はあまり話題にされないこと(本来議論する必要があります)ですが、同じウ
イリアムス症候群の中でも違いがみられます。残念ながら、現在までに公表されているほ
とんどの論文は、研究データの平均値をもとにした「代表的」なウイリアムス症候群の子
供について書いてあります(先程述べた論文についても同様です)。しかし、みなさんも
ご存じのように、ウイリアムス症候群の子供はそれぞれすばらしくて個性があり、特定の
一人についての記述は別の子供にはあてはまりません。
先程述べた言語に関する論文を一目見ても、2才半から5才になるのに、0語〜5
0語しかしゃべらない子供が何人かいます。最近このメーリングリストで話題になった子
供達と同じで、自閉傾向がある可能性があります。しかし、理由はよくわかりませんが、
6才から7才まで話しをしなかったのに、一度しゃべり始めると上手に話せるようになっ
た子供の家族を何家族も知っています。繰返しになりますが、これは平均値の回りに大き
な「ばらつき」があることを示しています。反対側にも同様にばらつきます。つまり、7
〜8ヶ月で最初の言葉を話した、という家族も何家族かありました。
私は今、ウイリアムス症候群の言語発達に関する「平均」曲線を作成するプロジェ
クトにかかわっています。いつの日か、ウイリアムス症候群の子供を診察したときに、そ
の子の年齢と何語くらいの単語を話せるか(あるいは理解できるか)という事実から、そ
の子がウイリアムス症候群の子供としてどのくらいの発達度合なのか、をご両親に伝えら
れるようになりたいと思っています。
長くなってしまってごめんなさい。このメールが皆さんのお役に立つことを祈って
います。もっと聞きたい事がありましたら、気軽に電話をして下さい。
Wendy Jones
The Salk Institute for Biological Studies
La Jolla, CA
(619)453-4100 x1416