ウイリアムス症候群の表現型における言語能力と非言語能力:
発達過程のばらつきに関する証拠



Verbal and nonverbal abilities in the Williams syndrome phenotype:
evidence for diverging developmental trajectories.

Jarrold C, Baddeley AD, Hewes AK
Department of Experimental Psychology, University of Bristol, U.K.
J Child Psychol Psychiatry 1998 May;39(4):511-523

ウイリアムス症候群について共通的に述べられている特徴の一つに、比較的よく維持 されている言語能力と、かなりの障害が見られる非言語能力の間に特徴的な乖離があること である。しかし、ウイリアムス症候群の言語能力と非言語能力の乖離に関して提示されてい る証拠にはあいまいさがある。別々の2つの研究で、ウイリアムス症候群の表現型を示す1 6人の患者に対して、これらの能力を調査した。全体的に見て、この患者グループは確かに 言語能力に著しく優れていたが、その差は調査対象者が少ない中における能力のばらつきの 大きさに起因している。両研究において、個人個人の言語能力と、言語能力と非言語能力の 乖離の間に、明確な線形比例関係が見られた。この結果は、ウイリアムス症候群において、 非言語能力に比べて言語能力の発達速度のほうが速いことを良く示している。このような発 達速度に差があるというモデルは、この分野における互いに矛盾する発見について、きちん と説明できる可能性があることについて議論する。

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(1998年6月)

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