ウィリアムズ症候群の統語法と形態法



Syntax and morphology in Williams syndrome

Clahsen H, Almazan M
Department of Linguistics, University of Essex, Colchester, UK.
harald@essex.ac.uk
Cognition 1998 Sep;68(3):167-98

ウィリアムズ症候群は神経発達障害であり、言語能力とその他の認知能力が他には見られ ないほど乖離していることが特徴である。我々はウィリアムズ症候群を持ち、英語を話す 4人の被験者を調査した結果、低いIQにも関らず、統語法に関する課題(syntaxtic task) と規則的活用(regular inflection)に関してはウィリアムズの子供達の成績は障害を受 けていなかった。しかし、不規則活用では障害が見られ、いろいろな間違いをおかす。我々 は別の言語的障害(SLI:specific language impairment)を持つ子供達についても同じ言語 的現象についての調査研究を行い、その結果を報告する。これらの子供達は異なった障害 パターン、すなわち統語法に関する課題と規則的活用について比較的成績が悪い。ウィリ アムズ症候群の患者の形態素統語能力(morphosyntax)に関する言語的特徴は、記憶され ている(ある特定の)語彙要素(lexical entries)情報へのアクセスには障害を受けている が、言語処理系(computational system for language)は正常に維持されていると考えて いる。我々はウィリアムズ症候群とSLIについて発見されたこの特定の障害は、言語の 処理系と連想記憶系(an associative memory system)が独立しているという理論を補強 するものであると考えている。

(1999年1月)



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