ウィリアムズ症候群とダウン症候群の幼児の表現語彙能力:比較



Expressive vocabulary ability of toddlers with Williams syndrome or Down syndrome:a comparison.

Mervis CB, Robinson BF
Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, KY40292, USA. cbmervis@louisville.edu
Dev Neuropsychol 2000;17(1):111-26

ウィリアムズ症候群学齢期の子どもや成人は同年齢のダウン症候群の人に比べて表現語彙 が優れているという複数の証拠が発見されている。しかし、シンガー・ハリス、ベルージ、 ベイツ、ジョーンズ、ローゼン(Singer Harris, Bellugi, Bates, Jones, and Rossen(1997)) らは、この優位は言語獲得期の初期においては逆転していると主張している。この時期、 ダウン症候群の子どもはウィリアムズ症候群の子どもに比べて豊富な表現語彙を有してい る。しかし、この研究は手法に問題を含んでいる可能性がある。本研究は別の手法を使っ てウィリアムズ症候群の幼児が同年齢のダウン症候群の幼児より表現語彙能力が優れてい るかどうかという仮説を再考する。2才のウィリアムズ症候群児24人と2才のダウン症候 群児28人の両親にthe MacArthur Communicative Development Inventory(単語と文章)の 語彙チェックリストを作成してもらった。両グループは慎重に歴年齢を合わせてある。調 査結果によれば、ウィリアムズ症候群の幼児はダウン症候群の幼児に比べて実質的かつ顕 著に豊富な表現語彙量を有していた。データを採取できた2才0ヶ月から2才3ヶ月の範 囲の幼児をさらに分析したところ、ウィリアムズ症候群児の表現語彙能力の優位性は誰も2 語文を話せないような早期に既に発揮されている。続いて考察の章ではシンガー・ハリス らの発見との相違について述べ、ウィリアムズ症候群とダウン症候群の被験者のばらつき について考察する。また、生涯に渡ってウィリアムズ症候群の人の表現語彙が同年齢のダ ウン症候群の人に比べて優れていることと、個々の症候群内部における表現語彙のばらつ きについても議論する。

(2000年8月)



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