ウィリアムズ症候群における読字の学習:読字の非典型的な発達の底流を覗く



Learning to read in Williams syndrome: looking beneath the surface of atypical reading development.

Laing E, Hulme C, Grant J, Karmiloff-Smith A.
Neurocognitive Development Unit, Institute of Child Health, London, UK. e.laing@ich.ucl.ac.uk
J Child Psychol Psychiatry 2001 Sep;42(6):729-39

この論文では、読字書字の能力達成スコア(literacy attainment scores)と非典型的な読字学習実 プロセスの間の基本的区分を行い、非典型的な発達をした読字に関するこの両面を調査する。遺伝 子病であるウィリアムズ症候群の子どもや大人における読む能力を、読字年齢(reading age)と認識 語彙スコア(receptive vocabulary scores)を一致させた普通に発達した子どものグループと比較 した。実験1では読字の成果、及び読字能力と一般的認知と音声学的能力(Phonological skills)の 間の関連を調べた。音声学的能力は両グループとも個々の読字能力と相関が見られるが、ウィリア ムズ症候群グループの相関のほうが小さい。実験2では読字学習プロセスを調査した。両グループ とも話し言葉に関する手がかりとして、その単語に関連する略記スペルを与えられる。その手がか りは目的単語との音素的類似度に差がつけられている。一方、目的単語はその意味の想像しやすさ に差がつけてある。対照群に比べてウィリアムズ症候群グループは学習が遅く、手がかりの音素的 内容に対する感受性が低く、単語の想像性の影響を受けにくい。この結果は、ウィリアムズ症候群 における読字能力発達は音素的能力に依ってはいるものの、読字能力全体の発達は意味理解力の弱 さによって制約を受けるという仮説を支持している。本研究は、特殊な集団において読字能力レベ ルと読字学習の実プロセスを調査することの重要性を示している。

(2001年10月)



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