社会性発達および言語発達病理に関する物語分析:感情的言語使用と情報的言語使用の解離
Narrative analysis in developmental social and linguistic pathologies: dissociation between emotional and informational language use.
Pearlman-Avnion S, Eviatar Z.
Institute of Information Processing and Decision Making, University of Haifa, Israel. shiri@psy.haifa.ac.il
Brain Cogn 2002 Mar-Apr;48(2-3):494-9
本研究は、社会性と感情面に症状を呈する患者と、言語面に症状がある患者について言語使用に関するの感情的側面と情報的側面を調査した。まず、社会性に問題があるとともに、社会感情面や言語の情報的側面にも障害を持っていると言われている高機能自閉症患者(HFA)の検査を行った。さらに、精神遅滞でありながら社会感情面の言語使用や社会性が維持されていると言われているウィリアムズ症候群患者についても調査を行った。この2グループの成績を対照群のこども(7歳と11歳)2グループと比較した。被験者達は出来事を描いたスライドを提示され、そこに書かれた物語を話すことを求められる。これらの物語を感情と情報の要素に分解した。感情的要素の計測結果からは、ウィリアムズ症候群のグループは対照群と同じ傾向を示し、高機能自閉症患者だけが低い成績を示した。一方、情報的要素については、障害を持つ両グループとも対照群より成績が低い。この結果から、ウィリアムズ症候群患者で維持されている言語能力は言語の感情面に特異的であることが示唆された。
(2002年9月)
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