ウイリアムス症候群児の非言語・言語コミュニケーションの検討 ― 健常児との比較から



浅田晃佑(京都大学大学院文学研究科M1)
京都大学文学部 板倉助教授室 発達科学研究会(2005年4月28)

ウイリアムス症候群は、発生頻度の稀な遺伝子症候群です。ウイリアムス症候群患者は、認知的特徴として、あまり障害を受けていない言語能力、高い社交性を持ちますが、彼らは実際の社会生活においては、他者との意思疎通(コミュニケーション)においていくつかの問題をきたすようです。本研究の目的は、幼児期・児童期のウイリアムス症候群児のコミュニケーションの特徴を健常児との比較によって検討することにあります。その際に、非言語コミュニケーション・言語コミュニケーションという二側面から検討しました。その結果、実験1から、ウイリアムス症候群児は年齢の変化に伴い指差しの理解は健常児と変わらずできるようになるが、指差しの産出は依然として少ないこと、実験2から、ウイリアムス症候群児は総発話数の多さに比して自分の意思を明確化して、他者に働きかけていくことが少ないということが示されました。また、そのほか得られた結果として、ウイリアムス症候群児は社会的参照(物・人の交互注視)が少ない・発話数が多いということが明らかになりました。今回の結果は、ウイリアムス症候群児はコミュニケーションの表出において、他者の注意や意図に自分から働きかけていくことが苦手であるという可能性を示唆します。

(2006年2月)



目次に戻る