ウィリアムズ症候群における初期の言語発達と社会性の発達
中村 みほ1),綿巻 徹2),小椋 たみ子3),鈴木 淑子4),糸見 和也5),水野 誠司4)
1) 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
2) 県立長崎シーボルト大学看護栄養学部
3) 神戸大学文学部
4) 愛知県心身障害者コロニー中央病院
5) 愛知県小児保健医療総合センター神経科
日本小児神経学会総会プログラム・抄録集 第48巻 2006年6月1〜3日、S131ページ
【目的】
ウィリアムズ症候群(以下WS)は年長児においては表出言語が比較的流暢であるとされているが、幼小児期においては定型発達児(以下TDC)に比べて言語発達の遅れが指摘されている。されに、同時期にeye contactやjoint attention(以下JA)がとりにくいなどの所見が認められることがある。WSにおける初期の言語発達の遅れの原因を明らかにするため、社会性の発達、とりわけJAの発現と言語表出のかかわりに注目して検討した。
【方法】
以下の3群を対象に、社会性の発達をより定量的に検討するためSeibert and Hogan(1982)によるESCS(early social communication scale)を用い、彼らの評価方法に最大限準拠しつつ判定を行った。(officialなマニュアルがないため、以下ESCS(modified)と記載)。対象、2、3に対し、日本語版マッカーサー言語発達質問紙(準備版)(以下マッカーサー)による表出言語の状況をESCS(modified)のスコアと比較した。
【対象】
- TDC 6名(新版K式発達検査の1歳3ヶ月から6ヶ月の言語レベル)
- 初診時発語のないWS男児1名(2歳1ヶ月か経過時に検討)
- 発語のあるWS患児2名(2歳3ヶ月女、3歳1ヶ月男)
【結果と考察】
言語表出を認める定型発達児ならびにWS患児についてはESCS(modified)におきてJAのスコアは最も高いレベルに達していた。初診時言語表出がなかったWS患児については臨床場面でのJAの確認やESCS(modified)でのJAスコアの上昇と相前後して言語表出を認めた。以上、WSにおいても、TDCや自閉児におけると同様、JAの有無が言語表出に強く関わっている可能性が示された。
(2006年9月)
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