ウィリアムズ症候群における言語能力:評論



Language abilities in Williams syndrome: A critical review.

Brock J.
University of Oxford, UK.
Dev Psychopathol. 2007 Winter;19(1):97-127.

ウィリアムズ症候群は希少遺伝子病であり、軽度から中程度の精神遅滞があるにもかかわらず言語能力が比較的良いと言われている。さらに、これらの主張は言語のモジュール説あるいは認知発達における変則的な制約の証拠として捉えられている。しかし、本評論では、統語論・語形論・音韻論・語用論的な能力が非言語的能力に比べて優れているという証拠が実際にはほとんどないが語彙認知課題の成績は比較的良いことを示す。同様に、音韻論的には優れているが語彙意味論的には障害があるか変則的であるという非対称性に関する主張にも確固たる支持がない。それにもかかわらず、空間的言語には特定の障害があるという主張には首尾一貫した証拠があり、非言語的な空間認知能力の障害を反映している。また、初期言語獲得プロセスが変則的であることを示す未確認の証拠がいくつかあがっている。言語発達におけるモジュール論や神経構成主義(neuroconstructivist)者の観点も議論する。本論文の準備にはウィリアムズ症候群財団(イギリス)とその医学研究委員会の協力を得た。原稿に対してコメントをしてくれたCourtenay NorburyとKate Nationに、そして有意義な議論をしてくれたChris JarroldとJill BoucherとTeresa McCormackに感謝する。

(2007年1月)



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