ウィリアムズ症候群の子どもの隠喩と転喩に対する理解力
Comprehension of metaphor and metonymy in children with Williams syndrome.
Annaz D, Van Herwegen J, Thomas M, Fishman R, Karmiloff-Smith A, Rundblad G.
School of Psychology, Birkbeck, University of London, London, UK.
Int J Lang Commun Disord. 2009 Nov-Dec;44(6):962-78.
背景:
隠喩と転喩など比喩的な言語は日常の言語使用で非常に多く利用される。これらの基礎となる認知プロセスはしばしば言語や思想のインターフェースにおける「うそ」として見られている。希少遺伝子的発達疾患であるウィリアムズ症候群は、このインターフェースの研究に対して貴重な機会を提供する、なぜならこの疾患の患者は全般的な認知能力が低いにもかかわらず、言語や語彙の能力が比較的高いからである。ウィリアムズ症候群の隠喩理解に注目した研究は非常に少なく、転喩に関してはまったくない。
目的:
本研究はウィリアムズ症候群の隠喩と転喩に対する理解力を調査する最初の研究であり、彼らの能力を正常に発達したこどもと比較する。
方法と手順:
ウィリアムズ症候群の子どもと正常に発達した子ども11人を、新しく開発した隠喩と転喩の理解課題の結果で比較した。子ども向け友好物語絵課題(a child-friendly story picture task)を使って隠喩と転喩の発達に関する横断的歴程分析を使って比較した。歴程は、課題の成績を暦年齢および精神年齢(受容語彙、視空間構築)のそれぞれと関連させた。
成績と結果:
ウィリアムズ症候群の子どもの成績は正常に発達した子どもに比べて顕著に悪い。転喩の理解力は受容語彙と一致しているが、隠喩の理解力はこのレベルよりさらに下である。
結論と含意:
転喩は語彙の一部をなしており、ウィリアムズ症候群においては同義語として扱われている可能性がある一方、隠喩は言語以外の付加的な認知メカニズムが必要であり、この症候群においては非典型的な発達をしている可能性がある。ウィリアムズ症候群は言語能力に優れているという初期の研究報告があるが、彼らの言語システムは正常な発達と比較すると変則的である。
(2009年11月)
目次に戻る