親が子どもに伝える際の空間言語と埋込聞手モデル
Spatial Language and the Embedded Listener Model in Parents' Input to Children.
Ferrara K(1), Silva M(1), Wilson C(1), Landau B(1).
Author information:
(1)Department of Cognitive Science, Johns Hopkins University.
Cogn Sci. 2015 Dec 31. doi: 10.1111/cogs.12328. [Epub ahead of print]
言語は協同的活動である。上手にコミュニケーションするためには、話者は意味的に有効であるだけではなく、聞手の知識状況に対する感受性も持ち合わせたうえで発語を行う必要がある。このような感受性は埋込聞手モデルの使用を反映しており、話者は聞手の概念的あるいは言語的知識に関する内部モデルに基づいて発話を選択している。本研究では、親が行う空間的描写が、空間的位置関係や空間的用語に対する子どもの理解を反映した埋込聞手モデルを取りこんでいるかどうかを尋ねた。成人が自分の子ども及び成人の実験者に対して空間格子上にある目標物の位置を描写する。格子内の空間的関係を符号化するか描写しない限り目標物を特定できないように格子が設計されている。3から4歳の子どもの親は彼らの子どもの空間的言語レベルに上手に合わせて位置関係を符号化していた。この符号化は同じ位置関係を成人の実験者に対して話しかける場合とは異なっていた(実験1)。それとは対照的に、重度の空間的障害を有する子ども(ウィリアムズ症候群)の親は、彼らの子どもの空間的言語レベルに対する感受性を明確に示す証拠がみられなかった(実験2)。この結果は、空間的言語領域における埋込聞手モデルの存在を示す証拠を提供するとともに、聞手の知識をモデル化する能力の基礎となる状況はさらに難しいことを示唆している。
(2016年1月)
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