重力不安のあるウイリアムズ症候群児に対する作業療法の経験



執筆者の本間さんから論文のコピーを頂きました。

(2002年8月)

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本間 朋恵、梶 義雪(北海道療育園)
作業療法ジャーナル 36(7):962-965,2002

ウィリアムズ症候群(Williams Syndrome):以下、WS)は、低身長など幼児期からの成長障害や平均IQが60の精神発達遅滞、大動脈弁上狭窄、あるいは末梢性肺動脈狭窄などの心血管系異常、妖精様顔貌といわれる特異な顔貌、人なつっこい性格を主症状とする症候群である。原因は、1993年に7番染色体長腕に位置するエラスチン遺伝子の欠失を含む隣接遺伝子症候群であることが判明しており、確定診断が可能である。出生頻度はおよそ2万人に1人と考えられている。多弁で言語発達、記憶力はよいものの、視覚認知能力、配列能力に劣るという特徴がある。また、物音に過敏で、さまざまなことに不安感を抱くとされている。乳児期に診断が可能なことから、早期からの作業療法を積極的に行うことが重要と考えられている。しかし、認知能力に関わる検討は報告されているものの、作業療法の経過についての報告はない。

今回、高さやバランスを保つ動作に対する不安が強く、重力不安があると考えられたWSの女児に作業療法を行い、運動発達に改善がみられた。症例の臨床的特徴、作業療法の内容および経過を報告する。



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