Howard M. Lenhoff, Ph. D.*T
皮肉な事ですが、先天的な知的障害児の両親はベストの医療を求めて、子どもの成
長する何年もの間多くの時間を費やす一方、我々同じ親は子どもがほぼ間違いなくその寿
命を縮める事になるライフスタイルを送ることを容認して、親の責任を事実上だいなしに
してしまっています。いわゆる、寿命を縮めるもの−太り過ぎ−についてお話しましょう。
体重と知的障害:
知的障害者の太り過ぎる傾向は、生理学上・心理学上の理由があるかもしれません。
ウイリアムス症候群の子どもの経験からのみ言えば、WSの子は幼児期によく食べる事が
難しく幼少期は「育ちが遅い」といえます。思春期までは食べる事にきむずかしいのです。
結果として親はその痩せた子どもに対して、絶え間無く、何でも食べれるだけ食べさせる
事を求める傾向にあります。
思春期には、特に女性の場合変化が始まります。第一に体の面で、すぐに身長が上
限まで達し、他の成長も横並びで発達するでしょう。第二にホルモンの変化で思春期には、
特定の部分おしりの肉のようなところに脂肪が蓄積するような影響を与える傾向にありま
す。最後に大人の世界のフラストレーションや、座りきりの生活を続けることや食事の機
会が、体重増加を加速させる事につながります。ところが10歳頃まで子どもは痩せて針金
のようなので、それが更に体重を増加させる事につながります。
「ちょっと待って」あなたは言うかもしれません。「あなたも私たちの多くが取り
憑かれている「痩せるべき」の固定観念に陥っているのではありませんか?」いや、私た
ちは太り過ぎがいかに健康を損なわせ、寿命を縮めるかについてよく知っているだけなの
です。先天的知的障害者が心臓病を併発していることも知っています。事実、WSは心雑
音や大動脈の欠陥など幼少期に早期発見されることにより、診断されることがしばしばで
す。そのような子どもの親である私たちは適度な食生活や、日々定期的な運動をすること
を子どもに教える大きな責任があります。
Gloriaは典型的な痩せたウイリアムスの子どもでした。しかし、十代の終わり頃彼
女は強制的に食べ始め、4ft10(125センチ)と小柄な身長の彼女は一時は156ポンド(70.8
キロ)にふくれあがりました。過去3年間に体重は108ポンド(49キロ)あたりとなり、
この2ヶ月間は100ポンド(45キロ)程度です。ライフスタイルや食事の習慣の中でこの
変化は家族で決めたダイエット計画から始まったものではなく、1991年10月の事故の結
果Gloriaが臀部の外科手術を受け、3ヶ月以上入院し車椅子生活を余儀なくされ、その後
3ヶ月歩行も制限されたためです。
事故の結果の一つとして、彼女の左足の筋肉が弱まり悪化したため、筋肉回復のた
め厳しい体力的治療プログラムをする事になりました。彼女は発達した筋肉を見せる事に
とりつかれ、治療プログラムが終了したあとも地域のヘルスクラブで足の運動を続けまし
た。今日まで彼女はできる限り毎日1時間程度クラブへ通い続けています。
その数年後、毎日20分の退屈な足踏み機(私は5分間かろうじてできます)を日
課とする事で体重が減ってきていることがはっきりしてきました。一度それを私たちが誉
め始めると、体重を減らす事がいかに私たちを喜ばせるかがわかり、彼女は毎日何カロリ
ー消費したか(足踏み機のコンピューターで表示される)と体重を報告しています。
わたしたちは、彼女に激励されました。ダイエットをより健康的なものに修正し始
め、家族全体が利益を享受することになりました。問題は彼女が見せたと同じように継続
的に決めた事をできるかという事ですが…。
私たちがまわりにいないとき、子どもがすぐにケアされたり監督下にないような時
何が起きるでしょうか?それは問題です。Gloriaが現在の日課を続ける前は、5〜10日間
程度町に行くときはいつも信頼できる人たちに彼女を預けていました。彼女は一日に約1
ポンドは太っていることを確信しました。彼女が15歳のある時、甘いお菓子や食べ物をフ
リーザーにいれ鍵をかけておきましたが、彼女は鍵を壊し、お菓子を食べていました。ま
たあるときは、私の財布を奪い、彼女の職場に休憩時間になると食べ物を売りに来るトラ
ックから全部のお菓子を買ってしまいました。同じような事は施設にいる障害児の親は遭
遇します。体重は問題であり、コントロールする事が難しいものです。
現在 Gloriaは、毎日の運動と健康的な食事をとてもしっかり約束しているのでカロ
リーは高いが栄養の少ない食品や甘いもの(適度に)はめったに口にしません。仕事の時
に友達と食べるのみで私たちとは食べません。彼女の驚くべき良い報告をもらって力がわ
いてくるでしょう。風呂場の体重計が誘惑に対する彼女の抵抗を確証しています。
この習慣は彼女の振る舞いに深くしみこんでおり、われわれの励まし無くても続け
られるでしょう。いつかは、私たちがいなくても生きていかなければならなくなるでしょ
うから。しかし食事療法の思わぬ結果として、私たちもより健康的な生活を営むようにな
ったため、知的障害児が遭遇する多くの問題に Gloria が打ち勝つよう手助けするため、
少し長生きできるようになったかもしれません。
習得しておくべきライフスタイルのもうひとつは、健康的な低カロリー食品です。
アメリカではカロリー、脂肪、他の栄養分の中身を食品にラベル表示する事が新たに義務
づけられ数年前よりも食品を賢く選ぶ事は容易になりました。今や好きなものは何でも食
べられます。しかし更に健康的になるため一人前の量を少なくし、十分なサラダを日に二
回取る事で補います。