神経発生症候群の子どもに対する教育環境提供に関する比較研究:両親と教師への調査
A comparative study of educational provision for children with neurogenetic syndromes: parent and teacher survey.
Reilly C(1,)(2), Senior J(2), Murtagh L(2).
Author information:
(1)Research Department, Young Epilepsy, United Kingdom.
(2)University College Dublin, School of Education, Ireland.
J Intellect Disabil Res. 2015 Dec;59(12):1094-107. doi: 10.1111/jir.12210. Epub 2015 Jul 17.
背景:
脆弱X症候群、プラダー・ウィリー症候群、ウィリアムズ症候群、口蓋心臓顔面症候群を含む多くの神経発生症候群は特殊教育ニーズと強く関連がある。これらの症候群を有する子どもの教育環境提供に関する研究は不足している。
手法:
イギリスとアイルランドに住んでいて上述の4種類の症候群のどれかを有する学齢期の子どもの両親(n=381)と教師(n=204)を対象とし、子どもへの教育環境提供について幅広く調査した。調査した分野は、学校選択、症候群を有する子どものニーズに関する見方、現在の教育環境提供に対する理想的な変更、教師が認識している知識である。
結果:
学校選択の結果として通常学校を選択する割合は、すべての症候群において年齢とともに低下した。ウィリアムズ症候群だけを例外として、症候群を有する男児のほうが特殊教育環境に置かれる傾向が強い。教師はすべての症候群に対して、初期および継続訓練に対しての投入に制限があると報告している。各症候群間で大きな違いが存在しているにもかかわらず、教師の大部分はこれらの症候群の子どものニーズは他の知的障害の子どものそれと違っているとは見ていない。症候群固有のニーズが存在すると認識されている症候群間では、両親や教師から与えられる教育環境は変える必要がある。教師の知識が最も低いレベルだったのは口蓋心臓顔面症候群であった。
結論:
症候群を有する子どもの教師の大部分は症候群に関する知識が不足していると報告しているが、同時に子どものニーズが大部分の知的障害の子どものそれとは異なっているという認識も欠けている。ある部分の環境提供が症候群間で異なっていることは、子どもが有する症候群がある分野では教育環境提供にも影響を与えていることを示している。
(2016年2月)
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