K-ABCの障害児への適用(12):K-ABCとWISC-Vによる総合解釈と指導
企画者 藤田 和弘(吉備国際大学)、青山 真二(北海道教育大学函館高)
司会者 藤田 和弘(吉備国際大学)
話題提供者 星井 純子(三鷹市南浦小学校)、白府士 孝(函館市立弥生小学校)
指定討論者 前川 久男(筑波大学)、熊谷 恵子(筑波大学)
特殊教育学研究 44(5) 349-350ページ
略
(2)継次処理を得意とする児童の書字指導について(白府士)
@ 対象児:
障害児学級に在籍する小学校1年女児。ウィリアムズ症候群。
A 心理アセスメントの結果:
K-ABC(90%信頼水準) | WISC-V(90%信頼水準) |
継次処理 105±8 | 言語性IQ 75(71〜83) |
同時処理 73±9 | 動作性IQ 65(61〜76) |
認知処理 85±7 | 全検査IQ 67(63〜74) |
習熟度 72±6 | |
B 総合解釈と指導方針:
視空間認知の弱さに配慮し、言語的・聴覚的手がかり活用した継次処理的アプローチを行う。
C 指導方法:
「線なぞり」「書き方カード」「ひらがなプリント」の3つの課題を音声手がかりを用いつつ、段階的に指導を進める。
D 指導結果:
本指導の結果、ひらがなの学習に積極的に取り組むようになり、特に「な」の文字は指導の早い段階から視写に取り組み、字形のバランスも大きく改善された。また、このことが「できる喜び」を増幅させ、他の文字への学習意欲にもつながり、ほとんどのひらがなを習得するようになった。
(2007年5月)
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