ジョーはレバノン高の「勇気ある陸上選手」賞を受賞した
アメリカのウィリアムズ症候群協会(WSA)の会報に掲載されていました。
(2004年3月)
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Joe Northridge wins Lebanon High School's "Courageous Athlete Award"
"Heart to Heart" Volume 21 Number 1, March 2004, Pgae20
ジョー・ノースリッジ(Joe Northridge)はペンシルバニア州フレデリックスバーグ(Fredericksburg, Pennsylvania)にあるレバノン北高校(Northern Lebanon High School)の2年生です。ジョーは小学校5年生レベルにある数学以外の全学科を普通クラスで受けています。これまでずっと平均成績Aをとり続け、学業成績認定委員会(National Honor Society)に認定されているの13人の2年生のうちの一人です。
22校の高校の優秀なランナーを表彰するために、つい最近開催されたクロスカントリー賞の授賞式で、ジョーは「勇気ある陸上選手」という名目で表彰されました。次の文章はコーチであるジェームズ・ウィーバー(James Weaver)の紹介スピーチです。
今年度の「勇気ある陸上選手賞」を紹介できるのはとても名誉なことです。ウェブスター辞典によれば、「勇気のある(Courageous)」という単語は形容詞であり、その名詞形は勇気(Courage)です。勇気には「危険・困難・苦痛に対して恐れることなく継続的に対応できる精神的な力のこと」と記されています。
ここにお集まりの多くの方々は皆さん勇気を持っておられるといて良いでしょう。ランナーにはある種の勇気が必要です。疲労から来る苦痛、暑さ寒さ、失敗するのではないかと言う不安などに直面しながらもコースを走りつづけます。
逆転で今年の州チャンピオンを勝ち取った勇気ある若者がいました。そして、彼とは異なる勇気を持つ青年もいました。彼の名前が新聞に載ることはありませんが、シーズン途中に父親が発作で倒れ、体重が25キロも減りながらも競技を通続けました。
皆さんの中にも、ご両親が年老いて無力になった、あるいはお子さんや友達や隣人に病気や事故などの不幸な出来事があったにもかかわらず競技を続けるという勇気を持った人がいるでしょう。自分自身が病気や事故にあった人もいるでしょう。
このような経験があるからこそ、だれもが皆勇気を認め賞賛するのです。今年の「勇気ある陸上選手賞」を受賞した若者は自分で人生の選択を行ったわけではありません。彼はウィリアムズ症候群を背負って生まれてきました。彼はウィリアムズ症候群に共通する身体的特徴を少しだけ持っています。長所は音楽の才能、笑顔と外交的で社交的な性格です。不幸なことに、ジョーは数字や空間的位置関係に関する理解がとても苦手です。その結果、ジョーはしばしば競技のコースを間違えます。雨に降られたシーズン幕開けの競技会で物心ともにジョーを応援してくれたこと、そして彼をこの賞にノミネートするよう助言してくれたワーウィック女子チーム(Warwick girls' team)に感謝を忘れるわけにはいきません。また、マンハイム教区(Manheim Township)の方々にもお礼を申します。みなさんに作っていただいた競技コースは起伏にとんだ難しいコースでしたが、明確かつ注意深く印がつけてあったのでジョーは迷うことなくゴールできました。
ジョーは先生でもあると言うと、皆さんはおどろかれるかもしれません。私たちが彼に教えたことより多くの事柄を、彼は私やチームメイトに教えてくれました。長い年月をかけてやっと私が気が付いたことを、彼は既に学んでいたのです。私たちは運命を変えることはできませんが、どのような方法で対処するか、そしてどのような態度で臨むかについては自分で決めることができます。
スピーチの最後にジョーが今年の初めに書いたエッセイの一部を朗読させていただきます。
「自分について好きなところは3つあります。大家族の一員であること、人なつっこいこと、そしてウィリアムズ症候群であることです。大家族の一員として、私は分かち合うことと順番を待つことを教えられました。人見知りをせずにすぐに友達になのは簡単なことです。そのおかげで誰も私の邪魔をしたりいじめたりしません。ウィリアムズ症候群であることも気に入っています。なぜなら私とよく似た外見をしているたくさんの友だちと知り合うことができたからです。例えば目が見えない、あるいは車椅子が必要などといったもっとたいへな障害になったかもしれないのです。」
家族や友人たちからほんの少しの援助をもらい、心から神を信じ、勇気をもち、レースのコースだけではなく人生という道においても、ジョーは踏み外すことなくうまく歩いていくでしょう。ここに集まった人でそう思わない人がいるでしょうか?
それでは皆さんに今年度の「勇気ある陸上選手賞」の受賞者を紹介します。ジョー・ノースリッジです。
ジョーは電子音楽授業を受け初めて2年になります。ジョーはこのクラスでオリジナルを作曲します。異なる楽器を組み合わせた8段の楽譜を書き、記録として残すためにCDに焼き付けています。バグパイプは彼の音楽の重要なパートのようです。ジョーはマーチングバンドでドラムも演奏し、ウエイトトレーニングにも取り組んでいます。
おめでとう、ジョー。WSA会員全員があなたのことを誇りに思っています。
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