元気を与えてくれる人:オリンパス高校は勇気を与えてくれる学生の名誉をたたえた



アメリカのウィリアムズ症候群基金(WSF)のホームページに掲載されていました。米国ユタ州ソルトレークシティにある新聞社「Deseret Morning News」の2004年2月28日版に掲載された記事で、これを書いた記者であるTiffany Ericksonさんの許可をいただいて翻訳しました。

(2004年9月)

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Energizer: Olympus honors inspiring student

Deseret Morning News, Saturday, February 28, 2004
By Tiffany Erickson(terickson@desnews.com)
(C) 2004 Deseret News Publishing Company

 16歳のクレイグ・ストラッサー(Craig Strasser)は、多くの人に感動と勇気を与えた。たくさんの友人とオリンパス高校(Olympus High School)の賛同者が、彼の貢献に報いるための晴れ舞台に集まった。

 ストラッサーはウィリアムズ症候群をもって生まれた。この病気は脳にある推論機能部分に影響を与え、さまざまな身体的障害を併発する。彼は、背は低いけれども、知る限り誰よりも大きな心を持っている、と、オリンパス高校の友人達は言う。

 父親であるジョン・ストラッサー(John Strasser)は、この症候群の特徴のひとつとして、彼が「カクテルパーティ的な性格」であると言う。彼は常に前向きであり、いつも何かに熱中している。知らない人でも怖がることはなく誰でも好きになり、オリンパス高校の社交界に君臨している。

 しかし、ストラッサーが一番情熱を傾けているのはスポーツである。実際、彼がオリンパス高校のフットボールやバスケットボールチームを熱心に応援する様子は、最近上演された映画「Radio」(邦題:「僕はラジオ」、2004年9月公開予定)の描写に匹敵する。

 今週の初め、地域バスケットボールリーグ最終戦のハーフタイムに学生課の職員やチアリーダーが観客の前に一列に並び、ストラッサーのスポーツマンシップをたたえて「すばらしき後援者賞(Outstanding Booster Award)」を贈った。

 「たとえ雨が降っていても、晴れていても、みぞれや雪が降っていても、彼はサイドラインに立ってチームを応援し続けました。彼のそのサービス精神をたたえたいと思います」と、ポール・ハンセン校長(principal Paul Hansen)は述べた。

 観衆の多くは目を赤くし、立ち上がって大喝采を贈った。相手チームの選手やファンまでも。

 ストラッサーは手を挙げてそれに応え、「我々は優勝するんだ」と叫んだ。

 「それ以来、そのジャケットを脱ぐことはめったにありません。賞をもらった翌日、突然私のほうを振り向いて『お母さん、昨日は人生最高の日だったよ』と言いました」と、母親のデボラ(Debra)が言う。

 小学校低学年の頃からストラッサーはスポーツのファンだった。家ではカール・マローンやジェフ・ホーナセック(Karl Malone and Jeff Hornacek:訳者注=NBAのユタ・ジャズの中心選手)の写真を眺めていた。しかし、兄達が高校に入ると、彼はオリンパス高校スポーツチームの熱狂的なファンになった。

 数年前オリンパス高校のフットボールチームの監督マイク・ミラー(Mike Miller)に誘われて、彼はチームとともに歩み始めた。ストラッサーは試合が終わった後、兄を含めた選手達をねぎらい励ますためにグラウンドを駆け回っていた。ある試合の途中に、ミラーは彼をチームのロッカールームに来るように誘った。

 その時からストラッサーはチームとつながった。4年たった現在では、彼はバスケットとフットボールの両チームの一員として認められている。

 彼はフットボールシーズン中にはサイドラインに入れる許可証を与えられ、バスケットボールシーズン中はチームメートとともにベンチに座っている。ハーフタイムにロッカールームで行われる激励も欠かしたことは無い。放課後の練習にも参加し、彼にできるあらゆる方法でチームを援助している。

 高校のバスケットボール部監督であるマット・バーンズ(Matt Barnes)は、ストラッサーがチームメートにとって大きな精神的支えになっていると語る。

 「彼の存在はすばらしい。生き生きとして人生を楽しむ子供を見るのはね。我々のプログラムに多くのものをもたらしてくれるし、毎日彼に会うことが楽しみになるよ。彼はまぎれもなく我々の仲間さ」と、バーンズは述べる。

 しかし、チームのことを別としても、この10代の青年の存在自体が学校に大きな貢献をしている、とハンセンは語る。彼は出会った人全員に対して、それが教師でも、生徒でも、見知らぬ人でも、にこにこ顔で挨拶し、手を振り、抱き合い、穏やかで愛に満ちた雰囲気を創り出す。

 「彼は、出会ったすべての人と心から通じ合える天性の才能を持っています。クレイグはオリンパス高校に貴重な勉強の機会をもたらしています。能力のあるなしにかかわらず、誰でも貢献はできるという。」と、ハンセンが語る。



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