LIBRARY PRESENTATION ACCENTUATES THE POSITIVE
By Heather Tepe Special to The Baltimore Sun, April 14, 1999.
カイルは2万回の出産に一人の割合で生まれる希少遺伝子疾患のウィリアムズ症候群
を持って生まれました。この症候群の子供達は次に述べるような身体的特徴を共有してい
ます。妖精(ピクシー)のような容貌(小さく上向きの鼻・幅広の口・厚い唇・小さな顎・
はれぼったい目の周り)や平均身長より背が低いこと等です。彼らの大部分は医学的・神
経的問題を抱えています。この問題には、発達遅滞・心臓病・腎臓病・精神機能の低下(正
常範囲の最下部から軽度の遅滞まで)等が含まれます。彼らは手と眼の協調や空間認識に
関連する能力にも問題があります。
しかし、これらは欠点に注目したものです。しかし長所も同時に存在します。ウィリ
アムズ症候群の人々はいとしく思わせるような個性を持ち合わせています。とてもフレン
ドリーでたいへん礼儀正しいと言われています。言語能力は比較的維持されており、時に
は平均以上になります。ウィリアムズ症候群でもっとも目立つ特徴は音楽を演奏し楽しむ
能力です。逸話的な証言によれば、ウィリアムズ症候群の子供達は音楽的才能に恵まれて
いるようです。靴紐が結べなかったり、フォークとナイフを使えないウィリアムズ症候群
の人達もいますが、楽譜を読めないにもかかわらず、多くの人達が楽器を演奏し数百の複
雑な曲を記憶しています。ウィリアムズ症候群に取り組んでいる科学者達は、脳がどのよ
うに機能するか、我々が言語をどのように習得するか、個性はどのうに発達するか、等に
ついての理解が進み始めています。
今月、ウィリアムズ症候群協会(Williams Syndrome Association)の支部総会がイース
ト・コロンビア図書館(the east Columbia library)で開催され、ウィリアムズ症候群と
音楽との関連について話し合いが持たれました。カイルの母親のナンシー・カチゾーネ
(Nancy Catizone)が、カリフォルニア州コスタ・メサ (Costa Mesa) に住むグロリア・レ
ンホフ(Gloria Lenhoff)と彼女の両親のハワード&シルビア・レンホフ(Howard and Sylvia
Lenhoff)の出席の手はずを整えました。44才でウィリアムズ症候群のグロリア・レンホ
フは、すばらしいソプラノ歌手でありアコーディオン奏者です。彼女は25カ国後で歌を
歌い、世界各国で演奏しています。彼女は "60 Minutes" や "Nightline" に出演し、PBS
の受賞作品 "Bravo Gloria" の主人公になった人です。
カリフォルニア大学アーバイン校の教授であるハワード・レンホフは、1955年に
ジョンズ・ホプキンス大学で生物学の博士号を取りました。ここ数年、彼の興味はウィリ
アムズ症候群の人々の音楽的認知能力の研究に注がれています。彼は図書館に集まった3
0人あまりの聴衆に「今日皆さんがお持ちの認知障害に関する印象を変えることになるで
しょう」と語りかけました。「世間ではウィリアムズ症候群の人の[できないこと]に注目
しますが、彼らはすばらし能力をたくさん持っています。私達全員が脳に長所(山)と短所
(谷)を持っています。今我々はウィリアムズ症候群の人達の短所ではなく長所にまず注目
しようとしています。」とレンホフは言いました。
グロリア・レンホフはポピュラーやオペラの歌曲を歌いました。聴衆の中にいるウィ
リアムズの若者達はにこにこと笑いながら彼女の曲に合わせて体を揺らし、彼女の歌が終
わると熱狂的な拍手を送りました。一人の少年が、「グロリア、ロックをお願い」と大きな
声をあげ、両手を上げたり親指を立てました。グロリアに続いて聴取の中から何人かが演
奏しました。ゲイザーズバーグ(Gaithersburg)から来た13才のジェレミー・ベスト
(Jeremy Vest)はキーボードでスコット・ジョプリン(Scott Joplin)の「エンターテイナ
ー(The Entertainer)」を演奏しました。楽譜が読めない人には特に習得が難しい曲です。
彼は間違えずに演奏しました。
ウィリアムズ症候群協会とウィリアムズ症候群基金はサマーキャンプで音楽教育を提
供してきましたが、ついに音楽的な才能に恵まれた認知障害を持つ人に大学教育を施すに
至りました。ウィリアムズ症候群の音楽家達が、教え、演奏し、エンターティナーになる
ことが期待されています。ウィリアムズ症候群協会はマサチューセッツ州レノックス
(Lenox)でサマーキャンプを運営しており、この春にはサン・アントニオ(San Antonio)で
も開催予定です。
芸術教育を推進している組織アート・サポート(Art Support)のディレクター、スーザ
ン・ウォーダ(Susan Woda)は今年のウィリアムズ症候群音楽芸術キャンプの一つに奨学金
を提供するとこの会合で発表しました。この発表はまたもやウィリアムズの若者達の歓声
を巻き起こしました。両親たちも同じように喜んでいるようでした。
「ウィリアムズの子供達は私達を繊細な人間に変えてくれます」とハワード・レンホ
フが言いました。「ウィリアムズの子供を持つことが、私を以前よりずっと良い人間に変え
てくれました。」
ウィリアムズ症候群協会やウィリアムズ症候群基金に関する情報はホームページ
(www.williams-syndrome.org やwww.wsf.org)や電話(248-541-3630)で入手できます。