奇跡のグロリア



アメリカ合衆国のミシシッピ州セナトビア市のDemocratという新聞にグロリア・レンホフに関する記事が掲載され、その要約がウィリアムズ症候群協会のホームページで紹介されました。この記事を書いたLaJuan Talloさんから許可を頂いて翻訳しました。

(2001年3月作成)(2002年3月修正)

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The Miracle of Gloria

By: LaJuan Tallo, News Editor
February 13, 2001, (c)The Democrat 2001
The Democrat PO Box 369 | 219 East Main Street | Senatobia, MS 38668
The Democratのホームページ

Gloria236.jpg (8763 bytes) 彼女が歌い始めると部屋中に歌声が響き渡り、まるでコンサートホールか大聖堂の中にいるような感じがしました。小柄で妖精のような顔付きの彼女が、これほど力強く甘い歌声を出せるとはちょっと信じられませんでした。

実際にグロリア・レンホフ(Gloria Lenhoff)その人に会う前から、彼女のことを書いた記事を読みそのうわさを耳にしていました。彼女は楽譜が読めないにも関わらず28ヶ国語で歌を歌えるという記事がありました。簡単な足し算さえできませんが、2000曲以上の歌を記憶しているそうです。1人では道路も横断できないのに、優れたアコーディオン奏者で世界中の演奏会で演奏してきました。

1月の半ば、グロリアはカリフォルニア州の自宅からバッドア・メモリアル・センター(Baddour Memorial Center:BMC)に引っ越してきました。ビデオで見てその存在を知っていたバッドア・センター・ミラクルズ(the Baddour Center's Miracles)というコーラスグループにも加わりました。去る11月このコーラスグループがワシントンD.C.のケネディー・センターで演奏会を開催した時にグロリアも初めていっしょに歌いました。

グロリアはBMCがとても合っています。「とても気に入っているわ。友達がたくさんできたし、みんなとうまくやっていけそうよ」と、レンホフは言います。彼女はルームメイトが好きだし、映画やショッピングへ出かけるなどBMCが提供する活動を楽しみ、新しい仕事をエンジョイしています。

46歳で初めて自宅を出て生活する彼女はすばらしいソプラノ歌手です。10代の頃から専門家について声楽を勉強してきました。歌うことをこよなく愛しています。子どもの頃兄といっしょによく歌を歌ったことが思い出です。

グロリアは生まれつきウィリアムズ症候群という病気でした。父親のハワード・レンホフ(Howard Lenhoff)は退官したカリフォルニア大学の生物学教授で、今でも引き続きウィリアムズ症候群の研究を行っています。同時に発達障害を持つ娘の擁護者でもあります。

グロリアの父とポール・ワン(Paul P. Wang)によって書かれ、1997年にScientific American誌に掲載された「ウイリアムズ症候群が明かす脳の謎(Williams syndrome and the Brain)」という記事によれば、ウイリアムズ症候群の子どもは世界中で2万人に1人の割合で生まれてくると考えられています。ウイリアムズ症候群は1961年に心臓専門医であるウィリアムズ氏(J.C.P.Williams)が行った心臓病以外にも共通点を持つ自分の患者グループの研究を通して知られるようになりました。患者たちは上向きの鼻や小さな顎に代表される妖精のようによく似た容貌をしていて、しばしば精神遅滞を伴うと記されています。

彼らは「ウイリアムズの人々」と呼ばれることもありますが、軽度から中程度の遅滞があり、通常行われる知能テストの成績は一般的に平均以下です。簡単な算数や読み書きに苦労する一方で、すばらしい才能を発揮する分野もあります。予想以上に豊富な語彙を含んだ話し言葉が得意な傾向があり、とても社交的で他人の感情に心から共感します。

ウイリアムズの人々に備わっていることが多い最もすばらしい特色の一つが類稀な音楽的才能です。普通の課題に対しては集中できる時間が短いにもかかわらず、音楽を聴いたり歌ったり楽器を演奏することには驚くべき集中力を発揮します。グロリアをはじめ多くの人たちは楽譜を読めませんが、完全な絶対音感やそれに近い能力を持ち、信じられないようなリズム感があります。

1993年になって、ウイリアムズ症候群は体中のあらゆる細胞の中に2本ずつある7番染色体のうちの片方に生じた小さな欠失が原因だとつきとめられました。これによってこの症候群の合併症のいくつかや、顔が似ていることの説明ができます。

グロリアと彼女の父親は発達遅滞の人々を対象とした慈善活動やサポートグループの援助活動を精力的に行っています。彼女はカリフォルニア・スペシャル・オリンピックのようなイベントで歌ったり、地元のロータリークラブやキワーニス(Kiwanis)クラブに出席したり、キリスト教会やユダヤ教会や学校で歌を披露します。ロサンゼルス・ボストン・ビバリーヒルズ・ニューヨーク・ラスベガス・アスペン(コロラド)などのオペラハウスの一員として演奏活動をしています。スペイン・イギリス・イスラエルでも公演をしました。

グロリアはアーリーン・アルダ(Arlene Alda)監督、PBS制作のドキュメンタリー「ブラボー、グロリア(Bravo Gloria)」で取り上げられました。この数年の間に「60 Minutes」、「Nightline」、「Inside Edition」にも取り上げられました。彼女は絶対音感と相対音感を持っています。耳から音楽を覚え、作曲し、即興曲を創る能力があります。

全文をご覧になりたい方は2月13日付けのDemocrat紙を参照して下さい。記事を書いた編集者LaJuan Talloに連絡を取るには、562-4414(内線18)に電話をかけるか、ltallo@thedemocrat.comにメールを送ってください。



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