ウィリアムズ症候群を持つ人の音楽的表現型の特徴



Characterizing the musical phenotype in individuals with williams syndrome.

Levitin DJ, Cole K, Chiles M, Lai Z, Lincoln A, Bellugi U.
Department of Psychology and Faculty of Music McGill University Montreal Que. Canada.
Neuropsychol Dev Cogn C Child Neuropsychol. 2004 Dec;10(4):223-47.

ウィリアムズ症候群は神経発達面に症候群がでる遺伝子疾患であり、推論や計算能力や空間認知などの認知領域には実質的な障害がある一方、社会性能力や相貌認識や言語や音楽などの機能は比較的保存されているように、精神的機能に山谷があることを特徴とする。我々は、これまでで最も多いウィリアムズ症候群の被験者(n= 118, 平均年齢 = 20.4)と普通に発達した正常な対照群(n= 118, 平均年齢= 20.9)及び自閉症(n= 30, 平均年齢= 18.2)とダウン症候群(n= 40, 平均年齢= 17.2)という神経発達症候群の2つの比較群に対して、音楽的行動とその背景に関する包括的な調査・比較を行ったのでその結果を報告する。ウィリアムズ症候群の被験者は音楽的な成績・関与・興味に関して比較群より高く、対照群とはほとんどの項目でほぼ同等の値を示す。対照群を含むすべてのグループと比較して、ウィリアムズ症候群の被験者は音楽に対してより大きな感情的反応を示し、より低年齢の時点で音楽に興味を示し、一週間平均でみると音楽を聴く時間が長い。さらに、音楽を聞かせた場合の効果(正負どちらでも)はウィリアムズ症候群グループのほうが長く続く傾向がある。今回の検査例から抽出した音楽的表現型を特徴つける7つの主効果要素に関する因子分析、それらの因子に関する弁別関数分析を行った結果、検査例の大多数をカバーするグループ特徴を予測することができた。今回の発見の神経生物学的な意味を検討した。

(2004年12月)



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