私のとても素敵な友人
アメリカのウィリアムズ症候群協会(WSA)の会報に掲載されていた記事です。
(2005年8月)
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My Special Friend
By Diane Wang, Music Department University of Mississippi
"Heart to Heart", Volume 22 Number 2, June 2005, Page 11,12
グロリア・レンホフ(Gloria Lenhoff)。ウィリアムズ症候群協会に関わっている人にはよく知られた名前です。グロリア音楽的才能に恵まれたウィリアムズ症候群の患者であり、軽やかで叙情的な歌声のソプラノ歌手として、またアコーディオンの奏者としてその音楽性を表現しています。彼女のプロとしての演奏経験はとても豊富で長いリストになります。一例を示すと、イギリス・イスラエル・スペインや全米各地で演奏をしました。コロラド州アスペンにあるウィーラー オペラハウス(Wheeler opera house)・ニューヨークにあるバーダボン オペラハウス(Bardavon opera house)・ワシントン特別区にあるケネディセンター(Kennedy Center)などの会場で、ロサンゼルスやボストンのリリックオペラ(Lyric Opera)の主演メゾソプラノとして歌います。レンホフ嬢はサンディエゴコミュニティオーケストラやサンディエゴマスター合唱団の常任ソロゲストであり、次回のオペラメンフィス(Opera Memphis)に招聘されて歌うことになっています。
グロリアが全国的に知られるようになったのはアーリン・アルダ(Arlene Alda)が監督をしたPBS制作のドキュメンタリー「Bravo Gloria」でした。彼女の歌は60 MinutesやNightlineでも取り上げられ、インタビューは公共ラジオ放送で何度も放送されました。最近テレビに出演したのは、この2月に放送された60 Minutes IIでした。
私はプロの音楽家で、今はミシシッピ州オックスフォードにあるミシシッピ大学のピアノ学科で教鞭をとっています。私の甥、デビッド・ワン(David Wang)はウィリアムズ症候群でノルウェイのオスロ(Oslo)に住んでいます。オックスフォードという小さな町の隣に別のウィリアムズ症候群の人が住んでいると初めて知ったときの驚きを想像してみてください。しかもその人、グロリア・レンホフは音楽サバン(musical savan)で、ポピュラー・宗教音楽・民謡・クラシック・オペラという幅広いジャンルにおよぶ2000曲以上のレパートリーがありました。その上、30ヶ国語で歌えます。とても興味がわきました。
これらのことを知っていたので、グロリアの50歳の誕生日を祝ってミシシッピ大学で開催されるリサイタルの伴奏を頼まれたときには、とても興奮しましたが喜んで引き受けました。とても貴重な経験ができることは確信していましたが、その期待は少しも裏切られませんでした。グロリアといっしょに演奏することは私の人生の中でもっとも喜びに満ちたものでした。彼女はとてもチャーミングな人であり、そばにいるととても楽しくなります。彼女はどれほど完全に音楽を理解し、どのリハーサルでもどれほど完璧に準備をしていたかを知ってとても感激しました。私達は歌と楽器のアンサンブルなど様々な曲を演奏しました。ヘンリー・パーセル(Henry Purcell)作曲の「トランペットを吹き鳴らせ(Sound the Trumpet)」、フランツ・シューベルト作曲の「岩の上の羊飼(Der Hirt auf dem Felsen(The Shepherd on the Rock))」、アラン・ラーナー(Alan lerner)とフレデリック・ロウ(Frederick Rowe)作「Gigi」から「I remember it Well」、ジョージ&アイラ・ガーシュイン作曲の「ベスよ、お前は俺のもの(Bess, You is My Woman Now)」が含まれています。他の演奏者には、ソプラノのリサ・マキシードン(Lisa Maxedon)、クラリネットのジル・ワード(Jill Ward)、バリトンのリック・ロジャー(Rick Roger)、バスのハーバート・V・ジョーンズ(Herbert V. Jones)がいました。このプログラムの最後は、アダム・ガッソウ(Adam Gussow)の演奏するブルースハープ(特殊なハーモニカ)をフィーチャーして、グロリアはアコーディオンの弾き語りでハンディ(W. C. Handy)作曲のセントルイス・ブルースを演奏しました。
このリサイタルを聴きに来た誰もが、気持ちの高揚を経験したとても楽しい晩であったことに同意するでしょう。グロリアがとても上手に演奏したことだけではなく、グロリアの音楽に対する情熱を聴衆に届け、人々は彼女の音楽に対する愛情を感じたはずです。彼女とアダムの演奏するセントルイス・ブルースのかもし出す雰囲気、曲に合わせて聴衆の感激を表現した手拍子の音、そしてグロリアが聴衆に向かって「みんなの声をを聞かせて」と叫び全員が微笑みを返していたこと、などをいつでも思い出すことができます。
グロリア・レンホフ。彼女は私の素敵な友人です。彼女と知り合えたことはててもすばらしいことです。幸運にもウィリアムズ症候群の人と知り合えた人はだれでも、彼らがとてもユニークであり、我々の世の中にとって特別な存在であることに気付くでしょう。彼らの純粋さは私達の心に響き、我々に素直さをもたらします。彼らは「あなたを愛している」と躊躇することなく口にしますが、普通の人たちはその気持ちを隠してしまいます。この複雑な世の中に「良いこと」をもたらしてくれる、このすばらしい人たちがいることは本当に幸せなことだと感じています。
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