美しい音の調和:自閉症と他の神経発達疾患における音楽経験の多様性に関する新たな見通し
"With concord of sweet sounds...": new perspectives on the diversity of musical experience in autism and other neurodevelopmental conditions.
Heaton P, Allen R.
Goldsmiths College, University of London-Psychology, London, United Kingdom. P.Heaton@gold.ac.uk
Ann N Y Acad Sci. 2009 Jul;1169:318-25.
学者の間では長いあいた音楽的な機能や進化に関する疑問に興味が集まっている。つい最近の理論的論文では音楽の社会的起源や機能の重要性が強調されている。自閉症とウィリアムズ症候群という、おそらく対照的な社会的・音楽的表現型を有する両神経発達疾患がこれらの疑問に対する証拠を提供している。しかし、自閉症とウィリアムズ症候群の社会的な技能と障害に関する実験的データからは両者の社会的表現型には対照的な事実は得られていない。すなわち、研究によれば両疾患を特徴付ける社会的障害は音楽の重要性を増すことはあっても減らすことは無い。現在得られているデータでは自閉症とウィリアムズ症候群の音楽的表現型を直接比較することはできないが、音楽的認知障害はウィリアムズ症候群では観察されるが、自閉症では見られない。神経発達疾患における音楽的理解に関する普遍的な問題として考えれば、知的障害があることで障害者と健常者の聞き手の間で質的な違いはあるものの、音楽を聞く経験から得られる恩恵の範囲には制限がないことを示している。
(2009年8月)
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