笙を奏でる青年 −ウィリアムズ症候群と音楽−



細川 徹(東北大学大学院教育学研究科教授 教育学研究科長・教育学部長)
同志社心理 (No55) ページ166〜179 2008

皆さん、こんにちは。仙台からやってまいりました。今、ご紹介の中で、文学部で心理学を勉強し、はったつ。心理学が専門であると、その通りでございますが、実は文学部でやっていたのは実験心理学で、医学部に転じてから神経心理学及びリハビリテーションで、教育学部に移る前はワンクッション、医療短大にいたことがあります。そこではほとんど公衆衛生に近いことをやっていて、発達障害学に移って、まだ十数年というところです。発達障害学に移って、ほぼ全期間を通じるくらい長いつきあいをしている、これから紹介するYUU君という、来年1月で23歳になりますが、彼が小学校のころからずっと付き合っています。そのYUU君が非常にユニークな、私は実は研究としてYUU君と付き合うことになったのは後のことで、どちらかといえばサポーター的な入り方をして、研究としての距離のとり方をなかなか自覚的にやってこなかったので、きちんとデータをとってこなかったということもあります。でも最近はお父さん、お母さんからも「せひこの子の存在を世の中に知らせてほしい」ということで、遅まきながら現在、いろいろデータをとらせていただいておりますが、傍ら後援会長みたいなことをしておりまして、彼の活動をいろいろサポートしております。

ここから先はスライドでお話をしてまいります。「笙(しょう)を奏でる青年」というタイトルにいたしました。笙というのは雅楽で使う楽器です。なぜそういう組み合わせになったのかについてお話していきたいと思います。今日、お話しする内容は3つありまして、「笙演奏家YUU君とは」、「ウィリアムズ症候群の謎」、「サバンの話」です。アカデミックなというよりは、どちらかというとドキュメンタリー的なお話をしていきたいと思います。

(以下 略)

(2009年9月)



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