ウィリアムズ症候群の子どもと成人の音楽学習
Musical learning in children and adults with Williams syndrome.
Lense M, Dykens E.
Department of Psychology and Human Development, Vanderbilt Kennedy Center, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA Kennedy Center, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA.
J Intellect Disabil Res. 2012 Sep 14. doi: 10.1111/j.1365-2788.2012.01611.x.
背景:
音楽が知覚−運動マッピングプロセスに関与することから、音楽を様々な神経発達疾患の治療に経験的に利用することに関して最近注目が集まっている。しかし、発達障害の患者集団における音楽学習についてはほとんど知られていない。ウィリアムズ症候群は神経発達遺伝子疾患であり、楽器演奏を学習する際には聴覚が優れていることと、視空間能力に障害があることが特徴である。
手法:
アパラチアン・ダルシマーと呼ばれる楽器を46人のウィリアムズ症候群患者の子どもや成人(7〜49歳)に教えることを通して、ウィリアムズ症候群の人が見知らぬ楽器を学習することの関連を特定した。
結果:
取得されたダルシマーの演奏技術は事前に有していた音楽能力(r=0.634, P<0.001)や視覚・運動統合能力(r=0.487, P=0.001)と相関があったが、年齢・性別・知能指数・利き手・知覚過敏・音楽への興味や情緒性には無関係であった。聴覚学習戦略は利用しているが、視覚や指示戦略は利用せずに、個人が有する音楽能力や視覚・運動統合能力を超える高度なダルシマー演奏能力が予想された。
結果:
これらの発見はウィリアムズ症候群の聴覚・運動マッピングプロセスが優れている事に対する行動的、神経発現的な証拠に分類される。この結果は新たな技能を学習する際には、課題特異的な学習アプローチが重要であることを気付かせる。症候群特異的な長所と短所を有する集団に対して音楽を利用することに関する意義を議論する。
(2012年9月)
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