An Englishman's View of the WS Belvoir Music Camp
BELVOIR TERRACE SUMMER ARTS AND MUSIC CAMP FOR PEOPLE
WITH WILLIAMS SYNDROME - THE PRIDE OF AMERICA!
By Robert McGovern, Derby, United Kingdom
イギリス人として初めてキャンプを訪れたときの体験談:
キャンプの最大の目標は、ウイリアムス症候群の人々に共通的に備わっている音楽的 能力を育て、キャンプを終えた後の音楽活動に対するアドバイスを行うことです。それまで に音楽教育を受けたかどうかに関係なく、キャンプ参加者全員にプロのインストラクターか らいろいろな機会が与えられます。例えば、ピアノ・声楽・ドラム・吹奏楽器・ギターなど のレッスン(毎日、個人やグループで行われる)・合奏・ソルフェージュ(耳のトレーニン グ)・音楽劇・モダンダンス・芸術です。さらに、自由に泳げる時間や水泳指導もあります。 最も重要なことは、ウイリアムス症候群の人たちが音楽への興味を発見し、友達を作り、楽 しい時間を持つための特別のキャンプだということです。スタッフとキャンパーの比率はほ ぼ1対1です。インストラクターは、能力や情熱やコミュニケーション能力や、特別のキャ ンパーと共に生活すること等への興味を考慮して注意深く選抜されています。カウンセラー 達はキャンプ期間中キャンパーと寝食を共にし、小さなグループ毎に教室へ案内します。
開催地は演奏家としてのジョーにとっては理想的であり、妻(バーバラ;Barbara)
と私(Bob)が寝起きし、昔からずっと知人だったと思えるような人たちと時間を過ごすに
も最適でした。私の故郷、イギリスのダービー市にある Rhode Island Dinner という今回
の開催地にふさわしい名前のレストランで家族で夕食をしているときに、またとないこの休
暇をとることを決めました。その時まで、Martha's Vineyard やニューヨークやボストン
やメイン州を訪問することになるとは考えてもいませんでした。地図を広げて、レノックス
がどこにあるか探すこともしませんでした。4週間の夏休みの最後をこのサマーキャンプに
参加することに決め、飛行機の予約をしました。考えるだけわくわくしました。このことは
忘れられないでしょう。
私たちは到着した瞬間から歓迎され、すぐにキャンプに溶け込むことができました。
ジョーはあっという間に友達やカウンセラーのゲイブ(Gabe)とともに走り去ってしまいま
した。ゲイブはキャンプ期間を通して24時間気を配って世話をしてくれました。非常に根
気のいる仕事ですが、ベッドルームの一人一人の要望をよく理解し、控えめな大人としてふ
るまう技術を持っていました。彼はジョーにとって申し分の無い友達でした。ジョーはイギ
リスで通常学級に通っているにもかかわらず、年相応の友達がいないことを考えさせられま
した。ゲイブは完璧でした。ラスは他のキャンパーの姉とすぐに友達になり、次第にキャン
プの一員になっていきました。私たちは、普通とは違った子供を持つことについて、いつ?
どうやって? 何を? 等々、いろいろ言いたいことがある両親たちと座って話しを始めまし
た。アメリカ・カナダ・日本からきた両親達と、笑ったり、不思議がったり、心配したりし
ました。また、世間が私たちの子供を理解してくれることにほっとしたりしました。
一週間の間にだんだんと調子が出てきました。キャンプの代表のナンシー・ゴールド
バーグは、40人以上のキャンパー・スタッフ・子供たちをいとも簡単にうまくまとめてい
ました。彼女の持つ高い期待や技術や献身によって、楽器・声楽・ダンス・演劇・リズム体
操や芸術の教師達が協力し、キャンパー達全員にとってこのキャンプが刺激的で価値がある
ものになっています。ジョーは演奏嫌いを克服しはじめました。サックスの授業が気に入り、
数時間後に開催されたイブニングコンサートで初めてのソロ演奏を披露しました。規則正し
い呼吸法は、内気さ(shyness:ウイリアムス症候群とは関係ないと思います)を克服する
助けにもなりました。その後、ベースギター(彼へのクリスマスプレゼントです)にも興味
を示すようになりました。彼は音楽劇もリズム体操教室も楽しみました。私は、ジョーが音
楽に聞き入っていることに気がついていました。リラックスしている時間であり、彼はどち
らかと言うと落ち着いた人だとわかりました。しばしば彼は音楽を聴いたり、本をぱらぱら
をめくったりしています。リズム体操を楽しんでいたとしても驚くことではありませんが、
たった一つ問題があるとすれば、イギリスではこのような教育を受け続ける手段が無いこと
です。ジョーは泳ぐこともできたし、励ましを受けることを喜んでいました。そして最も苦
手な「芸術」をやり通すことができました。彼はその匂いと手触りが嫌いでしたが、粘土細
工と絵画制作をやりとげたのです。
私の表現力では、この場所のすばらしい雰囲気やここでの達成感を描き出すことがで
きません。一週間の間、何もできないと考えられていた若者達の成功体験を、観客として見
続けました。特別のイベントが毎晩開催されました。キャンプファイアーと歌、キャンパー
とゲストの音楽家やスタッフによるリサイタル、毎晩の演奏やイベントに疲れたはずの最後
の夜には、息を飲むような南太平洋のコスチュームと振り付けによるキャンパー達の出し物
がありました。最後の演技。成長した豊かな才能。若者と両親達の自信。たくさんの押さえ
切れない感情。これが「ベルボア・テラス:アメリカの誇り」なのです
キャンプの近くにあるタングルウッドでは本格的な音楽祭が開かれます。キャンプの 前半、意欲的なキャンパー達は、アンドレ・プレビン(Andre Previn)率いるボストン交響 楽団のモーツアルト交響曲40番のリハーサルを見に行きました。普通なら元気いっぱいな 一団が、リハーサルの間中静かに熱心に聞き入っていました。あるキャンパーは演奏にたい へん感動し、感激しすぎたため退席しなければいけませんでした。その後も仲間達の演奏に 対する彼女の感受性には感心するものがありました。忘れることができない思い出です。
(1998年3月)