スペインで開催された第3回音楽キャンプ:大成功



Spain’s 3rd Music Camp: A Great Success

by Professor Howard Lenhoff, WSA Music Advisory Board and WSF
ハワード・レンホフ教授:WSA音楽アドバイザー、WSF

スペインのソリア(Soria)に住むウィリアムズ症候群のお子さんを持つマリナ・パッラ (Marina Parra)さんとバレンシア(Valencia)のトーマス・モンゾ(Tomas Monzo)さんに感謝 します。第3回音楽キャンプは大成功でした。この"campamento"は音楽キャンプとウィリ アムズ症候群総会とウィリアムズ症候群専門家会議を合わせたもので、ソリアにある "Palacio de Audiencias"で行われたアメリカのウィリアムズ症候群音楽家(ゲストはグロ リア・レンホフ[Gloria Lenhoff])による公開コンサートも含まれていました。

スペインでは100人の子どもしか確定診断を受けていないことを考えると、29人の子 どもが1週間(7月23日〜8月31日)にわたる音楽キャンプに参加し、30家族以上が週末の 活動に加わったことは、この組織は、認知度が高くスペインに住むウィリアムズ症候群の 家族たちの要望に十分応えていることを示しています。才能ある自分の子どもたち、すな わち歌手のローラ・パッラ(Laura)とピアニスト/芸術家のトミー・モンゾ(トーマス:Tommi [Tomas])にこの組織が動機を与えられたことは明らかでした。

この活動はマドリッド(Madrid)から北東に100マイル程離れたゆるやかな丘陵地帯に ある小さな古都ソリアで行われました。次のようなイベントが活動の中心です。

「音楽キャンプ」:
マサチューセッツ州レノックス(Lenox, Massachusetts)にあるベルボア・テラス (Belvoir Terrace)で開催されている音楽キャンプと比べると、スペインのキャンプに は2つ違いがあります。一つめは年齢制限がないことです。キャンプ参加者の年齢は6 才から30才以上まで幅がありました。ニつめは、音楽の授業が日中4時間行われるこ とで、ベルボアでは日中の活動が工作や水泳などごく普通のキャンプ活動であること と異なります。キャンプ中はほとんど毎晩芸術家のゲスト(市民バンドや市民オーケス トラ、グロリア・レンホフ、ロックグループなど)を迎えて楽しみながら勉強します。 ベルボアのキャンプと同様、ウィリアムズの子どもたちが楽しみながら出会い、キャ ンプを経験し、音楽への情熱を高めることに力が入れられています。

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(カナリア諸島からスペインで開催された音楽キャンプ に参加した 6才のアルバ(Alba))

とても元気になれる1週間だということを実感しました。私たちは外国にいるの で言葉には不自由しましたが、滞在期間中ずっと家族の一員になったように感じてい ました。ベルボアのウィリアムズキャンプと同じように、このキャンプの参加者たち 全員が友好的で様々な音楽の才能を発揮していました。私たちはすぐに受け入れられ、 子どもたちの英語は私たちのスペイン語よりたいてい上手でした。すばらしいドラマ ーが2人、ステージ映えのする将来有望な歌手が数人、楽譜が読めるピアニストが1 人いました。最終日の朝、全員が家族や兄弟を励ますために演奏を行いました。
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(スペインで開催された音楽キャンプで 演奏会の準備をするウィリアムズ症候群のティーンエイジャーのグループ)
公開演奏会と宣伝:
グロリアはキャンプの参加者のために何度もかんたんな演奏を披露していました が、もっとも重要な演奏会は州で最大のコンサートホールである"the Palacio de Audiencias de Soria"で金曜日の夜に開催された公開コンサートでした。有名なピア ニストであるオスカー・ガラード(Oscar Gallardo)がグロリアの伴奏を務めました。 グロリアが「ラマンチャの男」の「見果てぬ夢」やスペインの古典から3曲、イタリ アオペラの「ラ・ボエーム(La Boheme)」、シューベルトの「アベ・マリア」、中国の民 謡、ドリー・パートン(Dolly Parton)の「I Will Always Love You」に至る様々なレ パートリーを歌う間、二人の呼吸はぴったり合ってすばらしい演奏でした。アンコー ルには自分でアコーディオンを弾きながら「オーソレミオ」を含むイタリアの曲のメ ドレーを歌いました。

その週のいろいろなイベントと供に彼女の演奏会は地方日刊紙2紙に詳しく紹介 されました。1週間にわたって、ウィリアムズ症候群に関する記事や評論や解説が9本 と写真が8枚掲載されました。さらに、4つのイベントやインタビューがテレビのロ ーカル局を通じて放送されました。グロリアのコンサートについて、音楽評論家のジ ュリアン・デ・ラ・ラーナ(Julian De La Llana)は、「彼女のすばらしい歌唱力と高い 芸術性は、間違いなく注目すべきレベルです。聴衆は驚嘆し、熱狂し、リサイタルを 通して温かい賞賛を惜しみませんでした。」

グロリアは、私たちが宿泊したホテルの従業員や宿泊客に顔を知られ、つかのま の名士になったことをとても喜んでいました。彼女のために地元の詩人がセレナーデ を歌ってくれ、帰るときには私たちのルームメイドを含めてたくさんの人達がさよな らのキスをして見送ってくれました。
講義とパネル:
キャンプ参加者やスタッフ、キャンプ運営者、両親たちとの形式ばらない会合に 加えて、両親やシニアスタッフやゲスト向けに本格的なプレゼンテーションを行うと ともに、ウィリアムズ症候群に関する著名な研究者たちと供にパネル討論の質問と回 答の部分に参加しました。どちらのセッションも通訳者を訓練する専門学校の講義室 で行われました。すばらしい通訳に恵まれて、パネル参加者も聴衆も配られたイヤー ホーンを使って英語でもスペイン語でも好きな方を聞くことができました。

私はウィリアムズ症候群と音楽について話し、ウィリアムズの人々に備わる絶対 音感の保有率に関する最近の研究成果にも触れました。今月初めにデトロイトで開催 された専門家と両親のための会合で発表した内容が下敷きになっています。しかし、 スペインでの私の公演の最後には、グロリアが簡単に音楽を披露し、私のお株を奪っ てしまいました。何度も練習したスペイン語での紹介をした時には、私も大きな拍手 をもらいしました。このプレゼンテーションは新聞で詳しく紹介されました。

パネリストは次の人達です。アメリカでウィリアムズ症候群の遺伝学を学んだ聡 明な小児科医で、有名で魅力的なルイス・ペレス・ジュラード教授(Luis Perez Jurado)、 マドリッドの小児神経科医長のジェイミー・カンポス・カステロ医師(Jaime Campos Castello)、マドリッドの言語学者である教授エレナ・ガレイザバル・ヘインズ教授 (Elena Garayzabal Heinze)、マドリッドの心理学者のルース・カンポス・ガルシア教 授(Ruth Campos Garcia)です。彼らは最新の文献を読んでいてよく理解していました。 しかし、シルビアと私が両親たちの質問を聞いていると、科学的なことにはあまり興 味がないように思えました。そのかわり、ウィリアムズの家族の精神的な問題や社会 的な課題に間する質問に対する答えを求めているように感じました。
グランド フィナーレ:
アメリカのベルボア音楽キャンプと同じく、スペインの"campamento" もキャンプ 参加者全員による最終公演で幕を閉じました。演奏者たちは、両手がカメラやビデオ にふさがれた家族や友達から熱狂的な喝采を浴びていました。公演が終った後、両親 たちと科学者たちは屋外のレストランの近くにある白いテントの中で、丘陵地帯の 山々のすばらしい眺めとご馳走でもてなされました。その間キャンプ参加者たちとそ の兄弟はキャンプでゲームとパーティを楽しみました。
最後に、私たちはスペイン特有の食事習慣にすぐになれました。お昼ごはんがごちそうで、 午後2時過ぎに始まり、たいていは4時頃までかかります。その後、いわゆる「ちょっと した夕食」が午後9時から11時の間に出されます。私たちが不思議だったのは、これほど たくさんの料理を1日に2回も食べているにもかかわらず、ソリアでは太った人がほとん ど見当たらないことでした。でも、アメリカに帰ってからはこのような食習慣を続けるつ もりはありません。

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(ある晩餐会でのレンホフと講師や両親たち)

Tomas Monzo, camp co-organizer, and his wife, Lisa,
our hosts and translators
(キャンプのコーディネータであるトーマス・モンゾ と妻のリサ(Lisa)。私たちのホスト兼通訳です。)


マリナ・パッラさんとトーマス・モンゾさん、それと思い出深い1週間のキャンプに 参加したスペインに住むウィリアムズの家族に感謝します。全地球的ウィリアムズ家族の スペイン地域の人たちに会えた今回の経験は特別なものです。様々なイベントに私たちを 参加させていただいたことに感謝します。彼らの子どもたちに拍手喝采。

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(向かって 左から、グロリア、シルビア(Sylvia)、ハワード・レンホフ)


(2000年9月)



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