キャンプ情報
アメリカのウィリアムズ症候群協会(WSA)の会報に掲載されていた記事です。
(2001年12月)
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The Camp Connection
"Heart to Heart", Volume 18 Number 3, September 2001, Page 20-21
この夏ウィリアムズ症候群の人向けの音楽キャンプが初めて3箇所で開催されました。
「ベルボア・テラスの音楽芸術キャンプ:The Music and Arts Camp at Belvoir Terrace」
は今年で8回目ですが、アイルランドで開かれた「家族向け音楽休暇キャンプ:the Music
and Holiday Camp for families」とミシガン州ムスケゴン(Muskegon, MI)で開催された
「ウィリアムズ症候群の子どもたちのための音楽療法キャンプ:the Music Therapy Camp
for young children with Williams Syndrome」は初めての試みで、ウィリアムズ症候群の
人たちが求めているキャンプ活動を提供しました。
ベルボア・テラス:
音楽に満ちた1週間のキャンプはよい天気に恵まれ、57人が参加しました。初めての
ことですが、キャンプ参加者の一部が近くの介護付き居住センター(assisted living
center)の演奏会に招かれました。メンバーたちの大半はこの秋に開校するBHMA(the
Berkshire Hills Music Academy)に参加するだけに、演奏会の観客であるセンターの住人
たちを優美な演奏と技巧で楽しませました。聴衆から暖かく迎えられましたが、この経験
はキャンプの参加者やBHMAの生徒たちが将来同じような機会を持てることを約束している
かのようでした。
ユニークなキャンプ参加者の存在が広まるにつれてベルボア・テラスには毎年たくさ
んの訪問者がくるようになりましたが、今年も例外ではありません。この夏には、ロサン
ゼルス地区からウィリアムズ症候群に関する本の協同執筆者が1人、このキャンプとウィ
リアムズ症候群を主題とした映画の脚本を書きいて上演したいと考えている若き俳優兼脚
本家が1人、演劇を治療に役だてるとともにニューヨーク地区に住むウィリアムズ症候群
の人向けの台本を書くことに興味を持っているソーシャルワーカー件療法士が1人、FOX-
Albany加入者向けにキャンプとウィリアムズ症候群に関する5分間のニュースを撮影しに
来たFOXテレビの一行(訳者注:Albanyはキャンプサイトの近くにあるニューヨーク州の
州都?)、金曜日の晩に開かれたバンドコンサートには5大学からなる協同研究体の研究者
およそ30人が参加しました。とても忙しい1週間でした。
最後の夜に開かれた発表会では、5つのバンドによる演奏、3つのグループの合唱、人
魚姫(The Little Mermaid)とGrease and 42nd Streetのハイライトシーンからなるミュ
ージカルが演じられました。例年のことですが見に来た人たちは全員、キャンプ参加者の
音楽面や自立面に関する着実な進歩に驚かされます。今年もそうでした。
アイルランドのウィリアムズ症候群音楽キャンプ:
アイルランドのウィリアムズ症候群協会の会長であるアン・ブリ―ン(Ann Bleen)が
長年温めつづけた計画の結晶としてこのキャンプが開催されました。アンと18歳の娘のカ
レン(Karen)はベルボア・テラスに何度も参加しており、1997年にバリナスロー
(Ballinasloe)で週末音楽キャンプを開催して以来、アイルランドに住む家族に完全なキ
ャンプ経験を提供するために努力をしてきました。7月の半ば8家族がリゾート施設に集合
し、ウィリアムズ症候群の子どもたちは1週間の音楽キャンプを、家族は伝統的なリゾー
ト活動を楽しみました。アイルランドのスタッフにはベルボアのスタッフから1人、オク
ラホマ出身でピアノ教師のサンドラ・メイヤー(Sandra Meyer)が参加していました。ベ
ルボアと同じようにアイルランドでもキャンプ参加者たちは風変わりななまりを持つ教師
やカウンセラーを気に入っていました、とサンドラがコメントしています。今回はサンド
ラの口調が皆から面白がられ、真似される対象になりました。朝から晩までウィリアムズ
症候群の人たちには音楽活動で満たされ、家族はボーと遊び・カヌー・フェースペインテ
ィング・ティーシャツプリントなどのリゾート活動をして過ごしました。1週間のキャンプ
の締めくくりとして、ウィリアムズ症候群のキャンプ参加者による演奏と、参加者全員(両
親・兄弟・教師・ウィリアムズ症候群の人)で“Joseph and his Amaxing Technicolor
Dreamcoat”から何曲か歌を披露しました。今回のキャンプは大成功だったので、これか
らも毎年夏に開催される予定です。アンはアイルランドの田舎を少しでも味わいたいと思
うアメリカのWSAに加わっている家族をいつの日か招待したいと思っています。
ウィリアムズ症候群の子ども(3才から10歳)のためのブルーレイク音楽療法キャンプ:
キャンプは大成功でした。WSAとブルーレイク美術キャンプ(Blue Lake Fine Arts
Camp)が協同スポンサーになっているイベントがムスケゴンで開催され20家族が集まり
ました。WSA側はキャンプ参加者と楽器を提供し、ブルーレイク側は素晴らしい施設と優
秀なスタッフを提供しました。ムスケゴン地区の音楽療法士であるテリー・ホルムバーグ
(Teri Holmberg)を中心に、地域の音楽療法士や大学の学生がスタッフとして協力してく
れたのでイベントはとてもうまく運営されました。参加者全員にすばらしいキャンプ経験
を提供してくれたブルーレイクのスタッフ全員に対して、WSAは感謝します。7歳になる
カーティス(Curtis)の母親であるエリン・カニンガム(Erin Cunningham)は次のよう
な第一報を送ってくれました。
9月14日(金):
第1回ブルーレイク美術キャンプのウィリアムズ症候群音楽療法キャンプ(1 st
Annual Williams Syndrome Music Therapy Camp at Blue Lake Fine Arts Camp)がミシ
ガン州ムスケゴンで開催されました。ミネソタ州・オハイオ州・イリノイ州・ミシガン州
から20家族が集まりました。みんな素晴らしい時を過ごしました。航空事情により東海岸
近くに住んでいる2家族が残念ならが参加できませんでした。
子どもたちは年齢別のグループに分けられ、各グループのリーダーは大学で音楽療法
と障害児教育を学んでいる学生のカウンセラーが務めました。カウンセラーに率いられて
ブルーレイクキャンプサイト内の美しい遊歩道を学生美術センターまで歩いていき、そこ
で4人いる音楽療法士の1人に紹介されました。子どもたちは毎日、パーカッション合奏・
コーラス・チャイム(Tone Chimes)・音楽と運動(Music and Movement)など30分の
授業に参加し、年長の子どもはピアノの個人レッスンを受けました。
子どもたちはウィリアムズ症候群協会に買ってもらった楽器の演奏を楽しみました。
パドルドラム(Paddle Drum)・木琴・チャイムなどの手持ち楽器を演奏しました。コーラ
スの授業では何曲かの楽しい歌を習い、音楽と運動の授業ではリボンやゲームを使ってこ
ころを表現し、パーカッション合奏では「イエローサブマリーン」や「Make New Friends」
などの曲に合わせて太鼓をたたき、「Laugh With Your Cat」や「We are Siamese」をチャ
イムで演奏しました。スタッフには美術療法士もいたので、粘土・お絵描き・色塗りなど
の活動もいろいろと行いました。兄弟や両親もすべての授業に参加したり見学するように
勧められました(参加は強制ではありません)。
この週末の間中、「こんどドラムをたたけるのはいつなの?」とか「とても楽しかった
よ」とか「ピアノを引くのは楽しいよ」などという質問やコメントに満ち溢れていました。
金曜の夜子どもたちがカウンセラーといっしょにマシュマロを焼いている間、両親たちは
集まって意見やアイデアを交換することができました。土曜の夜にはこのキャンプの責任
者であるテリー・ホルムバーグの指導でキャンプファイアの歌を歌いました。
最終日である日曜日の午後には立派なリサイタルホールでこどもたちの最終演奏会が
開かれました。両親たちは顔中が口になったよいうなすばらしい笑顔でした。カメラのフ
ラッシュがあちらこちらで光り、聴衆全員がビデオを回しているようでした。子どもたち
も楽しい時間を過ごし、歌を歌い終わって楽しそうにお辞儀をしていました。音楽療法士
やカウンセラーは誇らしげに微笑んでいました。彼らは私たちの子どもをとても好きにな
り、来年また来ることを誓っていました。最後になりましたが、この初めてのキャンプは
「ヒット」だったと言わなければなりません。
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