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Whispering Trails Williams Syndrome Music Therapy Camp 2005に参加して

（2006年1月20日）

　

アメリカ、ミシガン州Grand Rapids郊外のキャンプ場「Indian Trail」にて、２００５年８月２０日から２４日の５日間にわたって『Whispering Trails Williams Syndrome Music Therapy Camp 2005』が行われました。このキャンプは６歳から１２歳までのウィリアムズシンドロームを持つ子供たちを対象にした『音楽療法キャンプ』で、私は１２歳の娘と２人で参加しました。

アメリカのウィリアムズシンドロームアソシエーション（通称WSA）の主催で行われるこの「Indian Trail」でのキャンプは、子供たちの可能性を探ることを目的とし、2003年より毎年行われ、今年で３年目を迎えます。（2003年より以前はベルボア・テラスで9年間ウィリアムズ シンドローム音楽芸術キャンプ（Williams Syndrome Music and Arts Camp at Belvoir Terrace）が行われていました。それを受けて場所を変えてのキャンプです。）

今回は、約３０名の子供たちとその保護者がキャンプに参加し、音楽療法士、カウンセラー含め総勢約８０人が５日間、キャンプ地内に点在するキャビンに寝袋を持ち込みながら宿泊し、朝から晩まで音楽漬けの毎日を共に過ごしました。

キャンプの内容は、音楽療法のレッスンを中心に、音楽レッスン（個人・グループ）、作業療法（OT）、その他水泳やフィールドアスレティックなどの野外活動、１５minutes fameという子供たちそれぞれが得意なパフォーマンスを披露するショー、カントリーミュージックのライブステージ、カントリーダンスの指導、タップダンスのショー、パペットショー、毎晩キャンプファイアーなどが行われました。

ではなぜウィリアムズ シンドロームの子供たちのために音楽療法プログラムのキャンプをアメリカでは毎年行っているのか、まずウィリアムズ シンドローム（WS）の特徴を考察します。

ウイリアムズ シンドローム（Williams Syndrome）は、ニュージーランドのDr.J.C.P.Williamsによって初めて報告されたまれな遺伝子疾患で、出生約 20,000人に１人の頻度と考えられています。（ただし昨年、７５００人に一人の出現率であるという研究結果も出てきています。）

これまでの研究でウイリアムズ シンドロームは、７番目の染色体のエラスチン遺伝子の欠損が証明されており、この欠損により、ウイリアムズ シンドロームのいろいろな症状が説明できます。ただ、同じ部位での他の物質の遺伝子的な欠落も同時にあるものと考えられており、個々の当該疾患児では欠失の範囲が異なるので、現われる症状も各自異なり、それが医学的な面、発達の面での治療やケアなどの難しさの原因となっています。

特徴としては、ウイリアムズ シンドロームの子供は、IQが低く、数学の概念理解や計算については苦手です。その一方で、高い言語能力を持ち、性格は社交性に富み、人懐っこく、音楽の才能に恵まれています。そのため、音楽療法をはじめとして、音楽を通していろいろな分野の物事を習得する方法が効果的なのではないかと近年考えられています。また、ウイリアムズ　シンドロームの人々は感受性が豊かで、その共感能力の高さは注目に値します。彼らは人の心にとても敏感で、感情が細やか、同情心に富み、他人の苦悩を感じ取れるといった、説明できない第六感をもっているとも言われています。

では、一般的にみられる医学的症状についてWSAのofficial site およびウィリアムズノート、畑真由美さんの『ウィリアムズシンドロームを持つ１０歳女児の認知能力における音楽療法の効用』を参考に説明します。

＜身体的特徴＞
• 顔：広い額で小さな頭、眼周囲の浮腫、紅彩の放射線模様、上向きの鼻、鞍鼻、厚い唇、乱食いの歯になりがちで、小顎です。
• 体格は撫で肩で、首がながく、突き出たお腹、特徴的な歩行をします。
• 心疾患などがある場合が多く、大動脈弁上狭窄と、肺動脈閉鎖などが高い頻度で起こります。その他、腎合併症、筋の低緊張、年齢と共に顕著となる関節拘縮もみられることがあります。
• 性早熟です。

＜生後の早期症状＞
• 低出生体重であり、その後も体重増加の不良が続きます。
• 嘔吐、便秘、授乳困難などがあり、さらに異常な睡眠パターンが見られます。
• 高カルシウム血症（血清カルシウムの上昇）もみられることがあります。
• 聴覚過敏もあり、特に高音に悩まされます。その種類は、電気機器の発する音、モーター音、大きな音、雷の音、電気仕掛けのおもちゃの音などに敏感に反応します。これは経験により緩和されて行きますが、成人になってもこの類いの聴覚過敏は続きます。
• 座る、歩くなどの粗大運動、微細運動機能及び初期の言語発達において遅れがみられます。

＜学齢期における特徴＞
• 視覚、空間認知能力における欠陥障害があり、それに起因する学習障害が見られることがあります。その障害の程度は、軽度から重度まで子供によって異なります。
  ただこのように、空間把握、論理的な理由付け、概念の抽象化が苦手でありますが、認知障害を持つ個人としては大変高いレベルの語学能力を持っています。
• 高学年になると、言語理解より、言語発生の方が高いレベルを示します。
• 数や時間の概念に障害が見られます。（単純なたし算、引き算をすることが難しい。）
• 運動面においては粗大、微細運動機能の発達遅滞にて困難が続きます。
• 性格は衝動的な性格や、集中力の欠如などみられることがあります。
• 同学年の子供たちと人間関係を築くのが難しく、年下の子供か、大人と一緒にいることを好みます

＜思春期、成人における特徴＞
• 身体的、医学的問題は進行していることがあります。
• 高血圧となる可能性が存在します。
• 最終身長は平均より低いケースが多いそうです。

＜心理的特徴＞
• 空間把握、論理的な理由付け、概念の抽象化が苦手ですが、認知障害を持つ個人としては大変高いレベルの語学能力を持っています。
• 認識における特性、順応性においては、知的機能、理性、社会的行動および自立する能力において難しい面が見られます。
• 人格は、社交的であり、非常に人なつっこく、強者を恐れない、話し好き、ある話題に非常に熱中するなどの特徴がみられます。
• 活動過剰といった行動上の気質から、社会的孤立と不安も出てきます。
• 聴覚過敏の症状を持ち、かすかな音も聞き取ることが出来る能力を持っています。
• 多くの場合、深い愛と感謝の心、そして音楽的才能を持っている事も知られています。
• 社会性、特に対人関係においては、人に対する適応能力が非常に高く、人に喜ばれることを大変好むという非常に暖かく親切な個性を持ち、他人の感情に対する心からの理解ができるということも知られています。

以上、これらの特徴からウイリアムズ シンドロームの診断へのきっかけが得られることが多いのですが、個人個人で程度の差があり、その症状は軽度〜重度までかなり広いものとなっています。一方で、このような特徴に加え、彼らがもつ優れた音楽性はもうひとつの象徴的な特徴として研究者の注目を集めています。アメリカにおける研究者のひとりであるレンホフは（彼もまたWSの子供を持つ父親ですが）、彼らの音楽的特性として次のような観察結果を唱えています。（レンホフ1998）


1. WSをもつ子供たちはほとんどの教科に対して大変短い集中力しか持たないにもかかわらず、彼らの音楽を聴いたり、音楽活動に参加する際の集中力は驚くほど長い。
2. ほとんどのWSを持つ子供たちは、譜面を読むことができないにもかかわらず、彼らの多くは絶対音感か相対音感を持っている。
3. 変拍子や特殊なリズム、７/４などの複雑なリズムを短期間で学ぶことができる。
4. 大変優れたタイミング能力を持っている。
5. 多くのWSを持つ人々は複雑な音楽を記憶することができる。
6. 外国語で歌うことを学んだWSを持つ人々は、ほとんど完全とも言うべき発音（アクセント）で歌うことができる。
7. 観察者からはすべてのWSを持つ演奏者たちは、人前で演奏することに対する緊張（Stage Fright）がないように見える。

これらの研究を基に、学校心理学者、教師、保護者など教育にかかわるものに対してWSを持つ子供たちの教育は彼らの短所を直すことよりも彼らの長所をのばす形で行われることが望ましいと研究者たちは提言しています。（ブレーデン他2002）そして音楽教育家や音楽療法士はどのように音楽を音楽以外の教科を教えるためにも利用できるかという知識をもつことが大変重要であるとも指摘しています。これはWSをもつ人々が音楽に対する大変強い行為と興味を持っており、この強い興味を他の障害分野を補助するための一つの手段として扱うことが有効とみられるためです。（レイス他2003）

このような見解から、彼らが持っている音楽的な才能に着目して、このWSA主催の音楽療法キャンプでは、音楽からのアプローチをうまく生かし、子供たちが将来、豊かな人生を送っていけるための指導やアドバイス、また、彼らの音楽的な才能がどの方向に向いているのかを発見することを目的としています。

では、次に、今回、２００５年度は実際にどのような内容のキャンプが行われたのか、その概要をお伝えします。今回のキャンプに音楽療法士として参加された畑真由美さん（BA,MT-BC）より、今回のキャンプ中の音楽療法レッスンにおける目的とその内容設定、および実際のレッスンにおけるゴールについて伺いましたので、それを引用させて頂きながら、今回のキャンプにおける目的、内容、ゴールを今一度考察したいと思います。

今回の音楽療法の中では、何よりも子供たちが出来るだけ沢山の成功体験を出来ること、協調性を身につけること、得意分野を見つけることなどに重点が置かれました。

また、ウィリアムズ シンドロームを持つ子供たちの中に音楽分野に優れた能力を発揮する子供たちが多いことを受け、音楽レッスンを通して子供たちに適した音楽的なアプローチや楽器見つけ、学校教育内での音楽活動に関するアドバイスなども行うことを目的としていました。さらに、音楽療法自体の保護者の見学は自由でしたが、音楽療法の中での子供たちの様子を通して、子供たちの新しい側面を見つけることが出来る、或いは他の保護者との交流を通して、子供たちのとの新しい関わり方を探ることが出来る、など、保護者のための情報交換の場としても有益な場になる事を主催者側は目的としてました。

実際に、全米各州から集まってきている子供たちは、それぞれのIEPプログラム（individual educational program ）をもち、このプログラムをベースにして学校での教育を受けています。そのため、こういった場は、親にとっても、重要な情報交換の場であることは言うまでもありません。さらに、先輩の親からのアドバイスを頂いたり、今、抱えている問題について皆で集まり話し合いをする場も設けられ、今後の方向性を見出すためにも有効な場所でもありました。

音楽療法レッスンは、約３０名の子供たちを年齢別に６-７歳（yellowグループ）、７-８歳（purpleグループ）、９-１０歳（blueグループ）、９-１１歳（orangeグループ）、１１-１２歳（redグループ）の５つのグループに分けて少人数のグループで行われました。

各グループは音楽療法士１名とカウンセラー２名（音楽療法学生１名、トレーニング中のカウンセラー１名）によって指導されました。アメリカ音楽療法学会の音楽療法士資格を保有する音楽療法士が各グループの活動内容の計画、カウンセラー２名の指導、そしてグループ活動の全体的な責任を持ち、カウンセラーのうち音楽療法・音楽教育学生は音楽療法士の指導のもと、グループ活動の指導にあたり、トレーニング中のカウンセラーはグループ全体のサポートにあたりました。

この際、トレーニング中のカウンセラーのうち何名かはウィリアムズ シンドロームを持つ成人であり、ウィリアムズ シンドロームを持つ成人のための学校（Berkshire Hills Music Academy）にてトレーニングを積んでいます。このキャンプでは、自分たちの経験に基づいて子供たちのニーズを理解し、子供たちのよきロールモデルとなるよう活躍していました。

レッスンは、６歳から８歳の子供たちには「歌」「楽器」「リズム」「音楽ゲーム」、９歳から１１歳の子供たちには「トーンチャイム」「アンサンブル」「パーカッション」「コーラス」「ダンス」の５科目で、それぞれのグループで、キャンプ地に点在するキャビンにて毎日３０分のプログラムをこなしました。さらにこれらの音楽療法のレッスンのほかに音楽個人レッスンがあり、「キーボード」「パーカッション」「ウクレレ」のどれかを選択し、３０分間のインストラクターとのマンツーマンでの内容の濃いレッスンを受けることができました。主催者側の意図としては、この経験からも音楽的な才能を引き出すきっかけを見つけ出そうという積極的な狙いもあります。

その他、音楽面からのアプローチ以外の活動としては先に述べたように、運動面では、「カヌー」「フィールドアスレティック」「水泳」など、作業面では「自分の楽器作り」「Tシャツの染物（tie-dye）」などが行われました。

夜には、自己紹介をかねてそれぞれ得意なものをみなの前で披露する１５minuites fameという時間があり、みな、キーボード、歌、ダンスなど見せてくれました。娘は『マツケンサンバ�U』をリコーダーでふきました。

さらに毎夜キャンプ地を訪れてくださったカントリーバンドやタップダンサーのショーを楽しみ、そして一日の最後は、キャンプファイアーの火を囲んで歌をうたいながらしめるという５日間でした。朝８時から夜９時半までのスケジュールもびっしりの毎日でしたが、子供たちが笑顔をあふれさせ、心から楽しんでいる姿が印象的でした。

今回のキャンプでの音楽療法活動について設定されていたゴールは次の通りです。下記の12種類の活動を軸に行われました。

６-８歳グループ
1. Singing and Smiling：歌うための発声方法を身につける、ユニゾンで歌う、エコーソングを経験する、音程感覚を身につける。
2. Let’s play instruments：打楽器を経験する。（叩く、振る、片手で、両手で、ビート感を身につける）
3. Let’s move：スタート＆ストップ、歩く、走る、飛ぶ、スキップ、パターン化された動きを覚える、指を使う、体全体を使う、スカーフやパラシュートなどの小物を使う。
4. Rocking with Rhythm：ボディーパーカッションを経験する、リズムの反復、ドラムサークルを経験する。
5. Ring Around the Circle：音楽ゲームを経験する、パートナーを見つけてゲームに参加する、音楽劇を経験する、グループの中でリーダーシップを経験し順番を待つこと譲り合うことを経験する。
6. Music Play：希望者のみのオプション。音楽レッスンを受講できない６-８歳の参加者のため楽器のある部屋を開放し音楽遊びを通して色々な楽器を経験できる場を提供する。　

９-１２歳グループ
1. The Tone chimers：トーンチャイムの演奏法を学ぶ、３コードの楽曲を演奏する、メロディーを演奏する。
2. Percussion ensemble：オルフ楽器の演奏法を学ぶ（木琴、鉄琴）、ビート感を身につける、オスティナートパターンを学ぶ、ストップ＆スタート、自分のパートを責任持って演奏する。
3. Dance Team：ラインダンス、パートナーダンス、グループダンス、音楽劇、リーダーシップを経験する。
4. Choir：歌うための発声を身につける、楽譜を読む、カノンを経験する、ソロとコーラスの違いを経験する。
5. Drum Circle：色々な種類のドラムの演奏法を知る、ドラムの種類を知る、リズムの繰り返しや即興を経験する。
6. Music Lessons：新しい楽器に挑戦する、キャンプ以外の場で経験した楽器や楽曲を引き続き学ぶ、デュエットを経験する。

ではここから、実際に行われたキャンプの内容を流れに沿ってレポートいたします。
今年のキャンプのテーマは “On the Trail”。
Western themed songs and events がたくさん用意されていました。

８月１９日：キャンプ前日

キャンプは８月２０日から２４日でしたが、キャンプ初日の前の晩１９日には１３歳から３０歳までのウィリアムズ　シンドロームのolderの方たちのためのキャンプの最終日のフィナーレを飾るステージがあり、見せていただきました。そこでは、『Music and Enrichment Camp's Broadway Revue〜The Whispering Trails Players〜』と題されたshowを見せてくださいました。それぞれの得意な楽器、歌そしてダンスを主体として、みなで一緒に作り上げたステージを見せてくださいました。FINALEには全員が一緒に「Tomorrow」を歌い、歓声と感激の涙とで終演しました。

このOlderキャンプ『Music and Enrichment Camp』では、５日間、親から離れて完全に子供だけでキャンプの日程をこなします。合宿といえばイメージがつかみやすいでしょうか。さて、そのフィナーレを見た次の日、私たちはキャンプの初日を迎えます。


＜８月２０日：キャンプ初日の日程は次の通り。＞



Williams Syndrome Music Therapy Camp 2005 - Whispering Trails
Daily Schedule - August 20th, 2005 ? SATURDAY
TIME	What's going on	Location	Group
1:00PM	All staff orientation and training	Lodge
2:00-4:00PM	Camper Registration	Lodge	all
2:00-4:00PM	Escort families to cabins
2:00-4:00PM	Set up & Preparation
4:00-4:30PM	Cabin Activity Practice	Cabin	all
4:30-5:00PM	Get to your Group!!	Lodge Patio	all
5:00-5:30PM	Meet & Greet		all
5:30-6:00PM	Break		all
6:00PM	Dinner & Camp Song		all
7:00PM	Cabin Activity Performance		all
7:30PM	Q&A		all
8:30PM	Jam Session & Bonfire with S'mores!		Optional



８月２０日、１４時〜１６時に現地集合。３〜４人ずつ宿泊するキャビンに別れ、まずは自己紹介と、キャビンごとにドアにかけるネームプレートを作る作業をします。この作業は一緒に過ごすメンバーとの交流を深める作業とともに、絵など工作が苦手な子供が多い中で、こういう作業を行う機会をさりげなく設けているOTプログラムのひとつでもあります。

部屋のネームプレート

その後、さっそく音楽の課題が与えられました。キャビンごとの課題曲に、子供たちが歌やダンスのパフォーマンスを考え、夕飯前のミーティングで発表しようというもの。子供たちは、それぞれのキャビンで振り付けや歌を練習しました。

まず音楽を聴き、リズムをとり、ふりつけ。曲はもちろん今回のキャンプのテーマであるカントリーミュージックです。我がキャビンでは女の子３人とカウンセラー一人の４人で協力しあって振り付けを考えました。他のキャビンでは、親も一緒に歌い踊るチームもありました。

このように、Dinner timeの発表の場では、みながそれぞれ振付けた楽曲をキャビンごとに披露しました。その後、このキャンプのチーフであるTracyがギターを弾きながら今回のテーマソング『whispering trails place to be』を指導し練習しました。歌のメロディー、歌詞、そして歌にあわせた動きもまたたくまに覚えていく子供たち。Tracyの笑顔に惹きこまれていく子供たちがここにいました。（楽譜別紙）

夜８時半：キャビンに囲まれた中庭にてキャンプファイアー。



『森の熊さん』『メリーさんの羊』『線路は続くよ　どこまでも』『Simon Says』『Hokey Pokey』『Head, Shoulders, Knees and Toes』『if you’re happy and you know it』など、日本でも馴染み深いキャンプソングをたくさん歌います。インストラクターの方たちはそれぞれに楽器をもちより、伴奏をつけ、ともに歌います。マシュマロを焼いてビスケットにはさんでたべるS'More(スモア)もトライしました。


８月２１日：キャンプ２日目　３日目　４日目

いよいよ本格的に音楽療法のレッスン＆音楽レッスンが２日目からスタート。WSを持つ子供たちの特徴や傾向を熟知した音楽療法士の指導のもと、音楽療法と音楽レッスンは行われました。タイムテーブルは２１日２２日２３日の３日間は次の通りで進められました。

６-７歳（yellowグループ）；　７-８歳（purpleグループ）；９-１０歳（blueグループ）；　９-１１歳（orangeグループ）；１１-１２歳（redグループ）



Daily Schedule - August 21, 2005 ? SUNDAY
TIME	What's going on	Location	Group
8:00AM	Breakfast & Camp Song		all
8:35-8:45	Get to Your Group!		all
8:45-9:00	travel to classes		all
9:00-9:30	Singing and Smiling	Kickapoo Porch	Yellow
9:00-9:30	Let's Play Instruments!	Navaho	Purple
9:00-9:30	Choir	Lodge	Blue
9:00-9:30	Tone Chimers	Screen House	Orange
9:00-9:30	Percussion Ensemble	Pool House Lobby	Red
9:30-9:40	travel to classes		all
9:40-10:10	Singing and Smiling	Kickapoo Porch	Purple
9:40-10:10	Let's Play Instruments!	Navaho	Yellow
9:40-10:10	Tone Chimers	Screen House	Blue
9:40-10:10	Percussion Ensemble	Pool House Lobby	Orange
9:40-10:10	Drum Circle	Lodge Patio	Red
10:10-10:30	Snack Break		all
10:40-11:10	Lessons & Outdoor Activity	Canoeing	all
10:40-11:10	Lessons & Outdoor Activity	Canoeing	all
10:40-11:10	Lessons & Outdoor Activity	Canoeing	all
10:40-11:10	Lessons & Outdoor Activity	Canoeing	all
11:20-11:50	Music Play	Kickapoo Porch	Purple
11:20-11:50	Music Play	Navaho	Yellow
11:20-11:50	Percussion Ensemble	Pool House Lobby	Blue
11:20-11:50	Drum Circle	Lodge Patio	Orange
11:20-11:50	Dance Team	Screen House	Red
11:50-12:00	travel to lunch		all
12:00-12:30	Lunch & Free time		all
12:30-1:30	Free REC Time/Swimming/Lessons		all
1:00-1:30	Let's Move!	Kickapoo Porch	Purple
1:00-1:30	Rockin' with Rhythm	Navaho	Yellow
1:00-1:30	Drum Circle	Lodge Patio	Blue
1:00-1:30	Dance Team	Screen House	Orange
1:00-1:30	Choir	Lodge	Red
1:30-2:00	afternoon snack and travel time		all
2:00-2:30	Let's Move!	Kickapoo Porch	Yellow
2:00-2:30	Rockin' with Rhythm	Navaho	Purple
2:00-2:30	Dance Team	Screen House	Blue
2:00-2:30	Choir	Lodge	Orange
2:00-2:30	Tone Chimers	Screen House	Red
2:30-2:45	travel time		all
2:45-3:15	Lessons & Outdoor Activity	TBA	all
3:15-4:15	REC Time (make your instrument)		Y&P
3:15-4:15	Swimming		B.O.R
4:15-4:30	Break		all
4:30-5:30	Swimming		Y&P
4:30-5:30	REC Time (make your instrument)		B.O.R
5:30-6:00	Break		all
6:00PM	Break		all
7:00PM	15 min. of Fame (give or take)		all
7:30PM	** Country Band **		all
8:30PM	Jam Session & Bonfire with S'mores!		all
9:15PM	Staff Meeting	T.B.A



<１日の流れ>


８時起床。ロッジ前に集合して朝食前にさっそく朝の歌からスタート。

朝の歌には今回のテーマソングを歌います。朝食後、子供たちは７-８名のグループに分かれ、それぞれのレッスンへと向かいました。

では実際にどういうレッスンが行われたのか、その内容について、１例として娘の参加した１１歳のグループ（redグループ）についてレポートします。



＜レッスン：The Tone chimers＞


トーンチャイムは、共振フォークを利用した普及型ハンドベルです。独自のハンマー機構と厳選された材料（高級アルミ合金）により、素晴らしい音色を奏でます。

この楽器を使ってのレッスンですが、まずはトーンチャイムの演奏法を学び、３コードの楽曲を演奏する練習をして、最後にはメロディーをトーンチャイムで演奏することを目的としてレッスンが行われました。

The Tone Chimers　



1. ひとり１音ずつもたせて、自分の音を確認させる。
2. コードを聞かせて音で覚えさせる。CとGとF。
3. 曲を実際に歌いながら、自分がもつ音が構成するコードでトーンチャイムを鳴らす。（曲はKUM BAYAを使用。譜面別紙。）
4. メロディーを弾く。紙に音名（CDEFGABC）でメロディーを書き、カウンセラーが指で弾く音を指し示します。カウンセラーの指示の中で、子供たちは自分のもつトーンチャイムを自分の音の場所で鳴らしていきました。こうやってメロディーを追っていきます。
5. 他の曲にも挑戦。きらきらぼしを弾く。
6. 第九のメロディーを奏でる。
   　　最初、キーを覚えることも目的として、音名（CDEFGABC）で自分の音を出すようにという指導をしていましたが、子供から難しいので簡単にしてほしいとリクエストが出たため、音名を色名に変え、その色のシールで読むことができる楽譜をつくり、自分の色の場所で音を出すという演奏スタイルに変えました。
   　（C= yellow D=green E=red F=blue G=purple・・・・）　　　
7. 最終日の発表の場では、先生の指揮と、色で判別できる楽譜をみて、演奏しました。
   
   
＜レッスン：Percussion ensemble＞


オルフ楽器である木琴、鉄琴を用いて、その演奏法を学ぶこと、ビート感を身につけること、演奏する中でオスティナートパターンを学ぶこと。指揮をみて、ストップ＆スタートをできるようにする、さらに自分のパートを責任持って演奏するということがゴールでした。


先生が笛でリードします。


1. 木琴と鉄琴をそれぞれ１台ずつ担当し、AとEの音を出す。
2. ビートでAとE音を出す。
3. 彼らが弾くベースは一つのフレーズパターンを終始一貫して弾くオスティナートパターンです。皆が木琴と鉄琴で弾くAとEに合わせて音楽療法士の先生がネイティブアメリカンの笛でメロディーをつけます。アンサンブル練習です。エスニックな雰囲気の曲が聞こえてきます。演奏中、他人の音をよく聞くようにとアドバイスが随所でありました。
4. 先生の指揮にしたがって演奏することを学びます。ストップ＆スタートの練習もしました。そして、自分のパートに責任を持って演奏することも指導されます。


＜レッスン：Dance Team＞


ラインダンス、パートナーダンス、グループダンス、音楽劇、リーダーシップを経験することを目的としていました。


1. ポップスやフォークソングなどの曲にあわせて体を動かしました。音楽に合わせてストップ（フリーズ）＆スタートの練習。（使用曲は、「ABC」Jackson5、などPOPS）
2. リボン体操やバルーン、ビーンズバッグなどの道具を使い、体全身を音楽にあわせて動かし、同時に体の名前、指示内容を的確に理解できるように音楽とともに指導していく工夫がありました。　　　　　　　　
3. ダンスをする時には、一人がリーダーとなって、その子供の動きをまねたり、２人組みになってお互いの動きを見て動いたり、共同作業であるバルーンでは、先生の指示どおりにふくらませたりおろしたり、バルーン・センターにボールをおいて、右に転がしたり左に転がしたり、力加減を体で感じながらみなで力を合わせて気持ちを合わせて、自由自在にボールを動かし、グループ作業ということもここで学びました。


＜レッスン：Choir＞


歌うための発声を身につける、楽譜を読む、カノンを経験する、ソロとコーラスの違いを経験する。


1. 『クンバヤKUM BAYA』を歌う。
   歌詞をいろいろ変化させて気持ちの変化、歌い方の変化をつける。
   
   

   Someone’s singing a song
   　　　　　 crying  
              jogging
              dancing
   

2. 『Happy Trails』を歌う。　歌詞を丁寧に教え、メロディーを正確に歌う。
3. 『テキサス』を歌う。歌詞、メロディー共に習得した後にカノン形式で歌う。
4. 『ムジカ』で、高音の声を出し歌う練習をする。譜面別紙　
5. 『ムジカ』をカノンで歌う。
6. 他の歌もそれぞれ覚え、歌い、カノンにして歌ってみる。


＜レッスン：Drum Circle＞


色々なドラムの種類、ドラムの演奏法を知ること。リズムの繰り返しや即興を経験することを目的としてレッスンは行われました。


1. Eggマラカスを使ってPick and Pass。まずはリズムを体で感じ、リズムに乗ってビートで隣の人にEggマラカスを渡す。右回り、左回り、テンポを早くしたり遅くしたり、こうやってビート感をつけていきました。
2. いろいろなドラムを実際に触ってみる。演奏法を学ぶ。　
   
3. それぞれ一つずつドラムをもって、サークルになって音を出していく。
   ビートで音を出すことを体で覚える。自分が差し出したドラムに、相手がビートでたたくなどいろいろな動きを使ってビート感を身に付けていく。
4. 他の人の音を聞きながら、リズムを感じながら、自分の中から生まれてきたリズムをドラムでたたきながら、サークルになって歩きながら演奏する。　　　　　
5. 実際にこのレッスンで使われたドラムの種類は以下の通り。これらを実際に手にして、演奏しました。
   • egg shaker エッグ　シェイカー
   • Shaker シェイカー
   • thunder tube サンダーチューブ
   • shekere シェケレ
   • kashishi カシシ
   • frican Bellsアフリカン　ベル
   • Shell シェル
   • Triangle トライアングル
   • Djembe ジェンベ
   • Hand drums ハンドドラム
   • Sound Shapes サウンド　シェープ（色とりどり、厚みのないいろいろなサイズをした丸いドラムです。子供たちはマレットやスティックを使って演奏していました）
   • Dumbek　ドゥンベック（小さい銀色のジェンベのような形のドラムです）


＜レッスン：Music Lessons＞


新しい楽器に挑戦する、キャンプ以外の場で経験した楽器や楽曲を引き続き学ぶ、デュエットを経験する。他の人の音をよくきき、ジャムセッションができることがこのレッスンの目的です。（WSの子供の場合、演奏はできるのだが、他のメンバーとのジャムセッションがむずかしいことが多々あるそうです。その原因は、他の人の音をきかずに自分だけの演奏にのめりこんでしまうからだそうです。　音楽でコミュニケートするにはジャムセッションは欠かせないものなので、ここではレッスンの最終目標はジャムセッションができることを目的としています。）

　

娘にとってはドラムセットでの演奏は初めての経験でした。今回は彼女のリズム感の良さをかってのパーカッションレッスンの選択でしたが、自分の中から湧き出てきたリズムをドラムで叩けるように、その際、すべてのドラム（タム、シンバル、キック、スネア）を使って叩くことが出来るように、上手に指導をしていただきました。そして、他者の演奏する音をよく聞きながら自分も演奏し、音を重ねていく（セッションにつながる）という指導をうけました。レッスンの最後ではドラムのリズムに合わせて先生がキーボードを即興演奏し、ドラム＆キーボードのジャムセッションでレッスン終了。

緑の中、窓をあけ、空に向かってドラムの音が響いていく経験は、考えられないほどの気持ちよさでした。娘にとってもいい経験となりました。



８月２４日：キャンプ最終日

最終日は午前中に、それぞれのグループのレッスンの成果を発表する場が設けられました。



Daily Schedule - August 24, 2005 ? WEDNESDAY
TIME	What's going on	Location	Group
8:00 AM	Breakfast & Camp Song	Lodge	all
8:45-9:00	Get to Your Group!	Lodge	all
9:00-10:00	**All Camp Closing Program**	TBA	all
10:00-11:00	Reception	TBA	all
11:00-12:00	Campers Depart - Lunch on your own		all
11:30 AM	Staff Luncheon
12:00 AM	Staff Departs



REDグループは、ドラミングサークルで練習したパーカッションアンサンブルで登場。各自が手にドラムのひとつをもって歩きながら弾きながら登場しました。そしてトーンチャイムでは第九を奏で、ダンスではビーンズバッグを使ったダンスを披露しました。他のグループもそれぞれレッスンの成果をここで発表し、大いに盛り上がってキャンプの幕は閉じられました。

15 minutes fame!!（成功＆達成感を十分に味わいました！）

　

タップダンスチームの子供たちとダンス

マペットショー

　　　 カントリーダンス指導

森林の中でフィールドアスレティック



REC - Tie-dyed T shirt & Music Instruments
OTのRobinの指導の下で、Tシャツを染める作業をする。いろいろな材料を使って自分の楽器をつくる
NAME	MATERIALS（材料）
Drums	embroidery hoops（刺繍の輪）, starch（のり）, fabric（布）
Rain Sticks	Mailing tubes, white PVC, contact paper, dowel rod
Bells	ribbon, elastic（ゴムひも）, bells
Wood Blocks	Wood, Sandpaper, Drawer pulls
Egg Shakers	Easter eggs, hot glue, rice, beans, sand
Rattles	large popsicle sticks（アイスキャンディーのスティック）, beads, buttons, ribbon, string
rhythmn sticks	Dowel（合わせ釘）1/2inch or 1 inch, stickers, paint, contact paper
Finger cymbals	frozen orange juice lids（ふた）, beads, hot glue
Shakeres	small hard plastic bottles (vinegar, lotion), beads, ribbon, raffia
	all types/sizes of beads, string, hemp

５日間のWhispering Trails Williams Syndrome Music Therapy Campに参加し,大変、有意義な時間を過ごしました。今回で２回目の参加でしたが、子供の音楽の面においての新しい可能性や生活面においての苦手な部分の克服方法、そして親として直面している不安材料などに対しての有効なアドバイスやヒントを頂き、日本に帰ってからの指導に生かしました。実際、帰国後、医学面においては担当医と、学習面においては学校の先生と、音楽面においてはピアノの先生や音楽の先生と相談し、今後の方向性を見出すと共に、新しい動きとしては、キャンプで見出したリズム感を良さを生かすべく、ダンスのレッスンや新しい楽器への挑戦を試み始め、キャンプでの経験を様々な展開へとつなげております。事実、アメリカでのWSについての研究は日本での経験や研究そのものよりかなり進んでおり、より多くの情報と経験が存在します。そのような豊富な知識をこのキャンプを通して得ることが出来ることは、さまざまな意味で多くの助けとなります。

また、リトミックを学ぶ者としては、このキャンプを通して、子供たちをどのように音楽を有効に使って指導するのか、特に、音楽の才能をもつといわれているWSの子供たちに対して、どのようにしたらその音楽の才能をのばすことができるのか、他の生活面への指導へもつなげることができるのか、など様々な手法を目の前で見させて頂き、そのひとつひとつが今後の指導方法へのヒントとなりました。中でも、レッスンのイントロダクション、カミングアウトと呼ばれる集中を欠いたときの対処方法など、その他、生活面においての指導方法などは参考にすべき点がたくさんありました。

２００６年夏、アメリカではWSについてのコンベンションがアメリカ、リッチモンドで開かれます。そこで、WSの新しい研究結果が各方面の研究者たちから発表されます。きっと新しい見解がみつけられることと確信しています。そしてそういった研究結果を踏まえた上で、次回の夏のキャンプが同じ場所で開かれます。３回目の参加を予定していますが、次回はどのような可能性が子供の中から新たに導き出されるのか、期待してやみません。

次頁に９歳から１１歳のREDグループを指導して下さった音楽療法士畑真由美さんによる『音楽療法士による考察(2005年１２月)』を、ご本人の了解を得ましたのでこのレポートの最後に添えます。今後のWSを指導する人々のひとつの指針となればと思います。今回のキャンプのベースであった音楽療法と今、自分自身で勉強しているリトミック。手法の差こそあれ、目指すところは子供の豊かな人生を音楽を通してサポートすることであり、子供たちの可能性を音楽で引き出すことでもあります。子供たちの笑顔が、音楽を通してひとつでもたくさん見ることができるように、願ってやみません。

最後に、このキャンプを通して、英語圏のお友達と毎日楽しそうに言葉を越えて楽しく過ごしている娘の姿に感銘をうけるとともに、英語に不慣れなわたしたち親子の参加を快く受け入れて下さり、最大のバックアップをして下さった主催者WSAのTerry Monkabaさんをはじめスタッフの方々、一緒にキャンプを楽しんで過ごした家族のみなさん、そして言葉が通じないなんてこれっぽっちも気にしない、すばらしいWSの子供たち、みなさんに感謝してこのレポートを終わらせていただきます。（尚、参考資料として、レポート最後に、実際にキャンプで使われた曲の楽譜、歌詞を添えました。）

（２００５年１２月）

上記の音楽療法キャンプにて音楽療法と音楽レッスンを担当した経験は、ウィリアムズシンドロームを持つ子供たちの可能性発見し、伸ばしていく過程に参加できたという点で、大変意義のある経験となった。

通常、音楽療法は音楽や音楽活動を通して、音楽分野以外の目標に到達することを目的としている。しかし、本キャンプでは、ウィリアムズシンドロームの子供たちが共通して示す音楽能力の高さ、読譜が困難なために直面する通常学級での音楽活動の難しさ等を考慮し、音楽療法と音楽教育の両要素を含めた活動を行っている。上記の活動では音楽のゴールを特に強調して記述したが、各活動の中で以前述べたような子供たちが出来るだけ沢山の成功体験を出来ること、協調性を身につけること、得意分野を見つけることなども重要な目標とされた。特に、動きの活動の中ではバランスや体全体を使った表現、ドラムサークル、トーンチャイム、打楽器アンサンブルでは他人の音を聞くことを通して協調性を身につけることなどが目標とされた。

筆者は１１-１２歳のグループを担当したが、各活動の中で、印象に残ったのは子供たちの音楽に対する反応のよさ、全ての経験を「楽しむ」ことの出来るポジティブな子供たちの性格、仲間を思いやる性格、そして、成功体験によって確実に自信と力をつけていく子供たちの逞しい成長力である。ウィリアムズシンドロームの子供たちに共通する障害といわれる、空間把握とバランスの分野は、読譜や楽器を演奏するときの動き、ダンスの中での動きなどに多少の困難をもたらしてはいた。しかし、５種類の音楽療法の中で必ず各子供たちが得意とする活動を見つけることが出来たのは、音楽やリズム活動がウィリアムズシンドロームを持つ子供たちの得意分野を見つけるための機会を提供するという良い例ではないかと感じた。

また、音楽レッスンの中では、子供たち一人一人の音楽レベルの差が、明らかに違うことを見せ付けられた。驚くほどのピアノの才能を示す一方で、ドラムセットに移ると手足のコーディネーションが上手く行かずに苦労する、初めて経験したドラムセットで驚くような手足のコーディネーションを示しながら、歌では声域が限られてしまい苦労する、ソロでは大人顔負けの演奏をするが、ドラムなどとのデュオになると聴覚と手足のコーディネーションが一致せずに中々合わせられない、などそれぞれの子供たちが異なるアプローチを必要としていた。ウィリアムズシンドロームを持っているからといって、音楽を演奏するという点で驚くほどの才能を発揮する子供たちというのは限られている。しかし､ウィリアムズシンドロームを持つ子供たちの音楽やリズムに対する強い関心や集中力は、音楽分野以外での力を伸ばしていく助けになると、再確認した。作曲された音楽の演奏以外でも、踊りや作曲、即興など音楽やリズムに関わる活動を幅広く捉え、子供たちの持つ可能性を伸ばすチャンスを見つけることが、子供たちの自信を高めることにつながるのではないかと思う。今回受け持った子供たちに共通した点は、言葉や楽譜での説明よりも、聴覚や視覚からの情報に頼って音楽を学んでいく姿勢である。音楽療法士、音楽指導者として､楽典や楽譜を読むことだけに執着せず、子供たちが音楽を楽しみ、自分を表現する手段として使える方法を共に探していくことが重要なのではないかと感じた。

参考文献：
Braden,J.S,& Obrzut,J.E (2002)
Williams Syndrome: Neuropsychological Findings and Implications for Practice.
Journal of Developmental and physical disabilities.

Lenhoff, H.M.(1998)
Insights into the musical potencial of cognitively impaired diagnosed with Williams syndrome Music Therapy Perspective.

Reis,S.M,Schader,R., Milne, H.,& Stephens,R.(2003)
Music & amp; Minds: using a talent development approach for youg adults with Williams syndrome. Exceptional Children.

畑真由美　（2004）
ウィリアムズシンドロームを持つ１０歳女児の認知能力における音楽療法の効用

畑真由美　（2005）
ウィリアムズシンドローム音楽療法キャンプ；音楽療法キャンプの概要と音楽療法士による一考察

   A                     D    E  A                                
Whispering Trails is the place to BE !!  
                         D   E 　A
Whispering Trails, come along with ME!!

   A                 D     E  A                    
Saying hello to my friends today!!  
                  D    E  A  
I’m so happy, I shout HOORAY!!

 E                           A                                    
When we’re together, I’m in clover. 
  B                        E    
When we’re together, I’m SHAKIN’ ALL OVER!
  N.C.
SHAKE, SHAKE, SHAKE, SHAKE, SHAKE, SHAKE, Stop ! 

  A                       D    E  A                             
Whispering Trails is the place to BE!!  
                          D   E   A
Whispering Trails, come along with ME!!

           G                    C7
You are my sunshine     My only sunshine

             F                C 
You make me happy when skies are gray

                 F               C  
You’ll never know dear how much I love you

                    G7         
Please don’t take my sunshine away.