芸術療法士の集い(第6回) 境界そして越境



根津 知佳子
日本女子大学
日本芸術療法学会誌 Vol49, No.1, 2018, 84-86ページ



3.たしかにつながるセッションの内と外

2002年の夏、米国マサチューセッツ州のベルボアテラスで開催されたウィリアムズ症候群(以下、ウィリアムズとする)の音楽キャンプに参加することになった。「なった」というのは、ある保護者に音楽キャンプを日本でも開催して欲しいという依頼を受けたからである。ベルボアテラスには、数十人のウィリアムズや音楽スタッフが集い、まさに<音楽の森>であった。

その後、家族・親戚や関係者(学校の先生、療育担当者、医療関係者)がボランティアスタッフとして働くアイルランドの音楽キャンプの形態を基盤とし、三重大学の学生、教員と家族が創出する「ハッピウィリムン」の歴史を重ねることになった。

17年のキャンプの歴史の中で大切にしていることがある。まず、彼らの多くが社会参加していることから、数十時間の体験で得た「勇気」を日常生活でも持ち続けて欲しいという願いである。同様に家族同士が繋がる活動を通して、家族も「元気」になって欲しいと考えている。



(2018年9月)



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