Williams症候群児の和音感の理解を促すMIDIとスイッチ入力の活用



兵庫教育大学の大学院生の井上 久美さんから研究論文を提供していただきました。

(2001年3月)

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Cognition of Music Harmony in Children with Williams Syndrome Using MIDI and Switch

井上 久美(Kumi INOUE)
兵庫教育大学学校教育研究科
日本教育工学会(JET)障害児教育研究会 2001年1月27日

第7染色体のうちの一本がわずかに欠けていることから発生するとされるウイリアムズ症候群は、視空間認知、量の判断、推論などの認知機能障害、聴覚過敏等が生じる一方で、優れた長期記憶や言語能力を現し、聴覚過敏は豊かな音楽性として能力を発揮すると言われている。

本研究では、ウイリアムズ症候群の聴覚過敏がもたらす豊かな音楽性に注目し、音楽の持つさまざまな特性からメロディー、リズム、ハーモニーをイメージし表現につなげる活動を促進すると考えられるMIDIとスイッチ等の簡易入力装置を用いた有効な指導方法について提案する。

特殊教育 ウイリアムズ症候群 音楽性 聴覚過敏 MIDI

1.問題の所在 2.研究の目的 3.研究方法
  1. ウイリアムズ症候群児を対象とした指導の実践記録を分析し、音楽とどのように関わっているかを明らかにする。
  2. 音の強-弱、高-低、速い-遅い、開始-終始などの音楽の持つさまざまな特性からメロディー、リズム、ハーモニーをイメージし表現につなげる活動を促進すると考えられるMIDIとスイッチ等の簡易入力装置を用いた有効な指導方法を試行する。
  3. 読譜理解を促進させるためのパソコンを用いた有効な指導方法を試行する。

     以上3点を行い、音楽性の伸長と視空間認知障害の改善との因果関係について考察していく。本発表においては(2)に基づき、音楽の開始から終止をハーモニーの進行で感じる活動について、MIDIと簡易入力装置を活用した指導の提案を行う。
4.MIDIとスイッチ等の簡易入力装置を用いた活動の提案 5.考察 参考文献
  1. Lenhoff,H., Wang, P., Greenberg, F. & Bellugi, U.(1997). Williams Syndrome and the Brain. Scientific American, 278 (4),10.
  2. Levitin, D. & Bellugi, U.(1997). Musical Abilities in Individuals with Williams Syndrome,http://www.wsf.org/BEHAVIOR/music/musicres/mrresear.htm.
  3. Stambaugh, L.(1996). Special Learners with Special Abilities. Musical Educator Journal,83(3),19-23.
  4. Lenhoff, H.(1998). Insight Into the Musical Potencial of Cognitive Impaired People Diagnosed with Williams Syndrome. Music Therapy Perspective, 16 (1).
  5. 松岡瑠美子(1999).Williams症候群の包括遺伝子医療. 医学のあゆみ,191(5),533-538.
  6. 伴田武嘉津(1975). 音楽教育学成立への基調. 音楽之友社


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