ウィリアムズ症候群:障害者に備わっているユニークな音楽的才能に関する研究
Williams Syndrome : A Study of Unique Musical Talents in Persons with Disabilities
By Sally M. Reis, Robin Schader, Laurie Shute, Audrey Don, Harry Milne, Robert Stephen and Greg Williams
Published by The National Research Center on the Gifted and Talented, Fall 2000
"Heart to Heart" Volume 18 Number 2, June 2001, Page 27
この論文は、ウィリアムズ症候群の青年(18歳〜29歳)を対象としてコネチカット大
学(University of Connecticut)で開催された「音楽と心(Music and Minds)」と呼ばれ
る10日間の滞在型グログラムの2セッション分から得られた研究の成果である。「音楽と
心」は、ウィリアムズ症候群の人々が持つ音楽的才能・興味・学習方法に合った効果的な
教育方法を探すことを目的としている。このプログラムは参加者が持つ興味に重点がおか
れており、音楽がプログラムの全ての面で重要な要素になっている。
このプログラムは優れた才能や天分を持った人の教育を専門とする教育心理学の大学
教授たちによって考えられている。教授たちには音楽・演劇・創作活動に関する学部だけ
ではなく、医学や理学療法の分野の人も含まれている。日々の授業は、コーラス・一般音
楽・楽器や歌の個人指導・舞台演劇・数学などが含まれる。夕方や週末にはナイトクラブ
の演奏会・遠足・ドラムセッションなども準備されている。著者らは次に掲げる3点の重
要な発見があったと述べている。
- ウィリアムズ症候群を持つ参加者グループ内の個人個人の個性やばらつきが非
常に大きいため、特徴別のグループ分けには問題が多い。
- 欠点やマイナス面を探すという一般的な評価方法は避ける必要がある。このグ
ループに対しては、良い点を見つけて伸ばすことが建設的な教育計画を作るた
めの基本になる。
- 参加者たちの多くが、自分たちの学習能力に対して持っている時に間違った確
固たる信念がじゃまをしている。参加者たちは一様に「わかりません」という
ような表現で「できないこと」を口にする。
この研究で得られた知見から、次のような提案がプログラム遂行に組みこまれている。
- すべての参加者は「音楽とリズムが好きである」ということが見て取れる。音
楽は強力な教育道具として利用できる。
- 両親の協力が音楽的才能を発達には非常に重要である。
- 学習方法や興味や選り好みに着目した方法を適用することは容易であり、この
グループにとってはとても有効である。
- 日常生活能力に関する差異を考慮する必要がある。
- カリキュラムは前もって十分検討しておく必要がある。
(2001年8月)
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