ウィリアムズ症候群
沼田 里衣
神戸大学大学院 総合人間科学研究科
第4回日本音楽療法学会学術大会(2004/9 倉敷)
ウィリアムズ症候群は、第7番染色体の遺伝子の欠損による疾患であり、発達遅滞を伴うものの、優れた音楽能力を持つと言われている。また彼らは、音楽記号に対して優れた記憶力と再生能力を持つとされている。これまでに、音楽療法における症例もいくつか報告されているが、自由な即興によるやりとりを主たる方法とした例はあまり見られない。本発表では、超未熟児として生まれたことによる発達障害を併せ持ち、コミュニケーションが常に一方的であったA君(11歳)が即興により音楽的対話が発展していった過程について、この疾患独特の特性に照らし合わせながら、記号論的解釈を試みる。音楽療法の記号論的解釈の試みは、R. Rolvsjordがクリステヴァの言語と主体の理論を援用して行っており、それを参考にする。
(2004年9月)
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