指導者からの自己記述へのフィードバックの有無による障害のある生徒の行動の変化―模擬喫茶店舗を利用した職場実習場面において―



山田 沙樹 大阪大学
高山 仁志 立命館大学
土田 菜穂 立命館大学OIC総合研究機構
中鹿 直樹 立命館大学
日本心理学会大会発表論文集 84(0), PP-021-PP-021, 2020

立命館大学では,大学内模擬喫茶店舗を利用した職場実習の実践研究を行っている。本研究は,5日間の実習において業務の前後で自己記述シートを導入した。@対象生徒が自己記述を行う際に学生ジョブコーチ(以下SJC)からフィードバック(以下FB)が与えられるか否か,A業務中に自己記述の内容に焦点を当てたFBが与えられるか否かによって,対象者の行動およびセルフマネジメントにどのような変化が見られるかについて検討した。ABデザインを用いて,FBなしをBL期(1・2日目),FBありを介入期(3・4・5日目)とした。対象者は,ウィリアムズ症候群と診断のある特別支援学校高等部1年生1名であった。著者はSJC兼店長として課題分析に基づき喫茶業務を指導した。BL期,介入期を通して定型業務行動では一貫して自立遂行率が高かった。一方,介入期ではセルフマネジメントと認められる行動の増加が確認された。介入期では,対象者の目標設定時(業務前)にSJCが目標を対象者と共有することが可能となり,業務中に対象者が目標と関連する行動を示したときに新たな工夫としてSJCによって同定することができたと考えられる。自己記述シートにFBを組み合わせる効果が認められた。

(2022年3月)



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